もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、ピーマンの栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心してピーマンを育てることが出来る内容になっています。
ピーマン栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
ナス科 | 20~30℃ | 25~30℃ | あり(3年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 50㎝ | 3~4ヶ月 | 6.0~6.5 |
ピーマンはアメリカ地域の熱帯域が原産地で、高温を好むの野菜。
ナス科のなかでも特に暑さに強く、収穫も5カ月ほど連続して出来る優れものです。
寒さにも耐えられますが、低温にさらされると生育が悪くなるため暖かくなって植え付けます。
土も種類を選ばず適応できるものの、根は広がりにくく浅めで乾燥や多湿に弱いです。
堆肥をしっかり入れて適度な通気、水分を保つほか、水やりをし生育を安定させましょう。
日光は少ない場所でも耐えられますが、良好な実つきをさせるためには十分に日が当たる場所が良いでしょう。
ポイント
・十分に暖かくなって植え付ける
ピーマンのおすすめ品種一覧
ピーマンは品種改良が進み、昔より辛みが減り食べやすい品種がたくさんあります。
その中でも育てやすく、初心者におすすめな品種をあげておきます。
京みどり
生育旺盛で丈夫な家庭菜園向きの品種。
実は小ぶりだが果肉は皮が薄めで食味良く、暑さでもかたくなりにくい。
ニューエース
横張りのある、しっかりとした形の中獅子型ピーマン。初期からなり休みなく、低温、高温ともに強い。
こどもピーマン(ピー太郎)
苦み、青臭さがほとんどなく肉厚な画期的品種。
ピーマンの栽培時期
ピーマンの地域ごとの栽培スケジュールになります。
種まきと育苗
種まきから定植まで、およそ二ヶ月半かかります。
3月初旬(一般地)から種まきすればちょうど植え付け時期になるでしょう。
培養土を入れた3号(9㎝)ポリ鉢へ事前に水をかけ、1cmほどのくぼみを作り、種を3粒均等に置きます。
5mm程土をかけ、軽くおさえつけて再度水やりをしてください。
発芽をよくするため、ビニール温室や不繊布をかけるなどなるべく暖かい場所(20℃~30℃)におきましょう。
本葉が一枚出るころに二本をまびいて一本仕立てにします。
以降、日中25℃前後、夜温15℃以上で保温しながら育てていきます。
本葉4~5枚のころに4号鉢に鉢上げしてください。
そのまま本葉12枚ほどの苗に育てていきます。
ポイント
・表土が乾いたら朝水やりする(夕は徒長するので×)
・保温は暑くなりすぎないよう日中透かす
土づくり(耕し方と肥料について)
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
マルチング
ピーマンは低温で生育不良になりやすい野菜。
早どりのためビニールマルチをして地温を安定させましょう。
マルチ前に十分に畝に水をまいておきます。
マルチをかぶせ、50cm間隔でカッターで十字に切り目を入れ植穴をつくっておきましょう。
ポイント
・定植一週間前にマルチ張りすることで地温が安定し生育が良くなる。
苗の植え付け方
苗は本葉12枚ほど、株の節間がつまり一番花が咲き始めたものを選びます。
種まきから苗になるまで3カ月近くかかるため、初心者は苗を購入するのが無難でしょう。
ただ市販苗の場合、小さいものが多いため十分な状態でなければ4号鉢ポットに鉢上げし、生長させてからにします。
ポイント
・一番花の蕾が大きく開花間近・葉が大きすぎず緑色で艶がある・茎が太く節間が狭い・葉柄が短く45℃の立ち・子葉がついている・4号ポリ鉢(12~15cm)
最低気温10℃、地温15℃以上あれば植え付けれます。
だいたい5月中旬(一般地)からが良いでしょう。
株間50㎝は最低でもあけます。
ポット大の穴を掘り、あふれるくらい水を注いでください。
苗には事前に水をたっぷりやった後、ポットから外し植穴に入れて、株元を持ちながら土を戻して軽く押さえます。
このとき2~3cm高めの浅植えしましょう。
乾燥を防ぐため、植穴とマルチに隙間ができないようしっかりと土で埋めておきましょう。
最後にたっぷりと水やりをして完了。
ポイント
・晴天の午前中に植えつけよう(地温を上げるため)
・植え付け後2週間は根付かせるため水やりをひかえよう。
・十分暖かくなってから植え付ける(気温10℃、地温15℃で早植え)
メモ
気温10℃以上、地温15℃以上から早植えできますが、そのままだとほとんど生育しません。
肥料袋などで作ったあんどん仕立てやホットキャップで保温してあげると、各段に生育が良くなりますよ。
支柱の立て方
ピーマンは風で株元が揺られて折れやすいため、植え付け後すぐに支柱立てしてやりましょう。
株から10cmほど離れたところに高さ150㎝、太さ2cmの支柱をまっすぐ刺します。
根本から5〜10cmほどのところで支柱に麻紐を八の字でゆるく結んでください。
誘引と整枝
一番花のすぐ下から出る側枝を二本伸ばして主枝ふくめ三本仕立てにしましょう。
伸ばした則枝2本に沿って支柱(高さ150cm、太さ2cm)を刺し、麻紐で3枝に誘引してください。
側枝2本以外のわき芽は全部摘み取ります。
ちなみに仕立て方法は、そのほか2本仕立て、4本仕立て、1本仕立てもあります。
株数が多い場合は‥
株数が多い場合は支柱の節約のための誘引方法があります。
3mおきに畝へ支柱をv字立てしてマイカー線や麻紐で横張りして誘引します。
植え付け直後の支柱もいりません。
水やりの頻度
ピーマンは根が浅く、乾燥にも多湿にも強い方ではありません。
つねに土に湿り気が少しある状態が理想なので、特に梅雨明け以降の真夏は気温の下がる夕方に毎日水やりした方が良いでしょう。
水が少ないと実つきが悪くなり、収穫したものも実が苦くなりやすいです。
ポイント
・乾燥しすぎ
茎が太く短くなり、上の葉が小さくなり葉が半分垂れ下がる
・適湿
葉が厚く上向き
・過湿
葉が全体的に小さく、日中萎れ下葉が黄化
一番花は摘み取る
ピーマンはまだ株が生長してない段階で花を咲かせます。
そのまま実をつかせると栄養を取られ株の生長が悪くなるため、早い段階で摘み取るようにしましょう。
追肥の仕方
植えつけ時から2番果が穫れるころ、一回目、植穴へ一つまみ(5g)ほど化成肥料888をやります。
それから約2週間後の実が付き始めるころに二回目、株間のマルチ穴をあけて(穴肥)30g/㎡の化成肥料888をあげます。
3回目は畝肩付近にマルチ穴をあけ、同量追肥してください。
4回目以降は畔にパラパラとまくだけで十分効きます。
メモ
追肥のタイミングを見極めるには、ナス同様、花の柱頭の出方をみると良いです。
花の真ん中の雌しべ(柱頭)がまわりの雄しべより短くなると肥料不足。
茎先の節間が狭くなり、雌花が株の上方や新芽の先にばかりつき始めても明らかに草勢が低下しています。
収穫と剪定
だいたい開花から3週間、最盛期は2週間ほどで穫れごろサイズになります。
果実が6㎝ほどになったらへた部分から切り取って収穫してください。
枝が折れやすいため、必ずハサミを使って収穫しましょう。
このとき実がついていた内側から出る脇芽は摘み取るようにしましょう。
脇芽を随時剪定することで一度になるピーマンは減りますが、日当たりが良くなる&栄養が集中することで長期間良い果実を収穫出来ます。
適期に穫り忘れると赤く完熟していきますが、株が弱りやすいため熟す前に穫る心掛けをしましょう。
失敗を防ぐ生育診断
ピーマンの栽培でよくある質問や失敗をまとめました。
症状はさまざまな要因が絡んで出ることがほとんどなので、一つの参考として捉えてください。
花・実が落ちる
たくさんの花が咲いて落ちますが、実際果実になるのは半分以下なので着果が多ければ大丈夫です。しかし一時的に花がたくさん落ちる場合は、なり疲れです。追肥と根をいたわりながら土をほぐして空気を入れてあげましょう。くわえて若どりを心がけることで樹勢が回復します。
実が黒くなる・茶色くなる
茶色くなるのは尻腐れ病といい、カルシウムが不足している場合におきます。水分不足により吸収できてない場合もあるため、水やりをしても直らない場合は石灰を葉面散布すると良いです。
苦い味がする・実が固くなる
実が固くなるのは、水分不足によるものです。植物体から水分が抜けるのを防ぐため、表皮が固くなります。また、実が苦くなるのも水分不足によるストレス反応の場合が多いです。そのほか、窒素肥料をやりすぎても苦みが増しますし、収穫を重ね株自体が疲れてきてもなります。
ふくらまない・形が悪い
元々、京みどりなど代表的な品種であまりふくらまず小ぶりで萎んだように見えるピーマンもあります。そのほかの理由として、シンプルに実に栄養がいきわたらずに小さいことが考えられます。栄養がいきわたらないのは肥料不足のみでなく、土壌の水分状態や、老化により吸い上げができないなどさまざま。
なりやすい病気
モザイク病
葉に濃淡あるモザイク状の模様が出来ます。葉が細くなる、変形するなどし生育不良になります。
黄化えそ病(おうかえそびょう)
葉に黄色の輪紋が出来ます。実は褐色の病斑がこびりつくように出来、こぶ状に変形します。生長点は黄化して病斑が出来枯れます。
尻腐れ病(しりぐされびょう) 生理障害
カルシウム欠乏で起こる生理障害。実の尻が褐色や黒色になって腐敗します。
つきやすい害虫
オオタバコガ
幼虫が果実の中へ入り食害します。果実に小さな穴があき黒っぽくなります。
アブラムシ類
主に葉裏につき、吸汁し生育阻害します。排泄物はべとべとしてすす病を誘発します。モザイク病ウイルスを媒介。
カメムシ類
主に果実へ被害が出るほか、種類によっては茎につきます。吸汁された実はくぼんだり、スポンジ状になります。
チャノホコリダニ
成虫、幼虫とも肉眼で見えない程小さく、新芽や出来始めの実につきます。吸汁した箇所は表面がてかり、新芽は変形し、実は褐色の筋が出来ます。