もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、にんにくの栽培方法・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心してにんにくを育てることが出来る内容になっています。
にんにく栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
ヒガンバナ科 | 18~20℃ | 18~20℃ | 少な目(1年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 株間・条間15㎝ | 8ヶ月程 | 6.0~6.5 |
にんにくの原産地は中央アジアで、冷涼な気候を好む野菜。
寒さには耐えますが暑さに弱いため、生育時期は秋~初夏です。
球根の鱗片を植え生長させ、肥大した球根を収穫します。
植えつけから収穫まで8カ月程かかりますが、管理は少なくて済むため初心者にもおススメ。
土壌は選びませんが、酸性を嫌うためしっかりと苦土石灰を施しましょう。
長期栽培になるので長く肥料を利かせれるよう、堆肥を十分に入れることも肝。
ポイント
・適切な時期に追肥
・芽かきをしっかりする
にんにくの品種について
にんにくは主に寒地系・暖地系・低緯度系品種に分かれています。
冷涼地では寒地系、それ以外の中間地、暖地では暖地系の栽培が適していると言われています。
寒地系 | ホワイト六片・ニューホワイト六片・福地ホワイト |
暖地系 | 改良早生・紫にんにく・平戸 |
低緯度系 | 島にんにく・葉にんにく |
それぞれの地域環境に適した品種があるので、最寄の園芸店で購入するのが安心でしょう。
ここでは代表的な品種をあげておきます。
ホワイト六片(寒地系)
にんにくの代表的品種。食味はピカイチ。
基本的には青森のような寒い場所の方が病害虫少なく、良く肥大する。
しかし実際暖地の園芸店でも売られているし、案外普通に育つ。
ジャンボにんにく(無臭にんにく)
厳密にはにんにくとは別種で、西洋ネギにあたるリーキの近縁種である。
別名「無臭にんにく」ともされるが、園芸店では別々に売られている。
いずれにせよどちらも通常より大きめで、にんにく特有の匂いが少なく、玉ねぎのような甘味が強いのが特徴。
平戸(暖地系)
関東以西の暖地栽培に適した早生品種。病気に強く作りやすく、にんにく特有の風味も強い。
嘉定(かてい)
暖地栽培に適す早生品種。中国産として安価かつ、やや小ぶりなものの丈夫で育ちが良い。香りも一段と強いのが特徴。
にんにくの栽培時期
にんにくの栽培スケジュールになります。
種球はスーパーでなく園芸店で
まずはタネ用球根をホームセンターor園芸店で購入します。
小球はウイルスに汚染されていることが多いため、なるべく大きな種球を選んでください。
ちなみにスーパーで売っているにんにくもそのまま使えます。
しかし購入した品種が栽培する地域に適しているとは限らないので、あまりおススメしません。
にんにくの球の中に6~10個の分球(鱗片)が薄い皮に包まれています。
外側の薄皮を向いて鱗片をばらし、一片ずつ分けてください。
この時極端に小さい、病斑がついているものは取り除きましょう。
メモ
燐片の皮もすべて剥いで植え付ける方法もあります。
皮は本来、風雨や病原菌などから守ってくれる鎧のようなもの。
ただしその皮が仇になって、発芽が遅れることがあります。
皮を取り除いて植えつけることで発芽が早まり、最終的に肥大も通常よりアップします。
土づくり【耕し方と肥料について】
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を200g/㎡(1㎡おおよそ4握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・酸性に弱いので忘れずしっかりと苦土石灰をやる
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
黒マルチで雑草対策
にんにくは半年以上栽培するため、雑草取りが随時必要になります。
面倒を回避したい方は、黒マルチを引きましょう。
肥料持ちを良くし、保温効果もあるので俄然おススメ。
マルチを引いたら株間、条間ともに15cm間隔(ジャンボにんにく25㎝)で植穴を空けていきます。
植穴は雑草が生えないようにするため、なるべく小さく開けましょう。
玉ねぎ用の黒マルチを買って使うのもありですが、穴が大きく草が生えやすいのであまりおススメはしません。
燐片(分球)の植えつけ
9月中旬から10月上旬の間に球根の鱗片(分球)を植えつけます。
株間、条間ともに15cmあけ、分球を置いていってください。
通常にんにく植え付け(ホワイト六片・平戸・嘉定など)
分球の尖っている部分を上にして、5~6cmの深さで土中に差し込んでいきましょう。
あまり深いと、発芽と生育が遅れるので注意してください。
上から土をかぶせ、たっぷり水をやって完了。
ジャンボにんにく・無臭にんにく植え付け
ジャンボにんにく・無臭にんにくの場合はサイズが大きいので植えつける株間・条間を25cmにします。
鱗片(分球)は芽が出てくる尖った方を上にして埋めましょう。
植え付ける深さは通常と同じく約5㎝程度に埋め、しっかり覆土して軽く押さえれば完了です。
水やりの頻度
にんにくは乾燥に強いので水やりは基本的にいりません。
ただ3月から5月にかけては水分&養分が多くいる時期なので、乾燥が続くようなら適宜水やりしてやることでしっかり肥大します。
雑草取り
マルチをしない場合は雑草取りが必要になります。
茂りすぎないよう、定期的に除草してやりましょう。
そして例え黒マルチ栽培で植穴を最小限にしていても、やはり草は生えてきます。
追肥などのタイミングで除草していきましょう。
追肥の仕方【やりすぎに注意】
植え付けて1ヶ月半後、3月初旬(寒冷地は4月初旬)の2回にわたり追肥をおこないます。
追肥が遅れると病気になりやすくなるため、時期を守ってやるようにしましょう。
雨に溶けてしっかり効いてくるので、雨天の前日に追肥するのが良いでしょう。
株元に888を茶さじ(子サジ2分の1サイズ)の半分量(約1~2g)を注いでいきます。
大規模なマルチ栽培の場合は化成肥料888を40g/㎡(おおよそ1握り)パラパラと適当にばらまいてください。
マルチなしの場合も同量をやり、しっかり混ぜ合わせ(中耕)ます。
最後に株元に土寄せしてやり完了です。
わき芽をかきとる
草丈が15cm程になった頃、たまにわき芽が伸びてきます。
ハサミで切り取ってもまた出てくるので根元から抜き取ってください。
主株の根元を手で押さえて、小さいわき芽を斜めに引っ張り抜きましょう。
特に大きな分球だった場合に出やすい傾向。
残すと球の肥大を悪くするため、忘れず取り除いてやりましょう。
トウ立ちした花芽を摘み取る
生育最盛期の春になると、茎が長く伸びとう立ちして花芽がつきます。
花に養分が奪われ肥大が悪くなるため、花芽は摘み取りましょう。
トウが葉の間から完全に出たら、固くなる前に早々と摘み取ります。
茎の根元からハサミで切り取ってください。
穫れたものは炒め物などにして美味しく食べれますよ。
収穫のタイミング
茎葉が黄色く枯れてきた頃が収穫期です。
葉が半分程枯れたころを目安に試し彫りしながら獲りましょう。
株の付け根を持って引き抜いてください。
マルチありの場合、肥大が良いので裂果する場合もありますが食味に影響はないので大丈夫です。
収穫後に腐敗しないよう、晴天の続く日を選びます。
ポイント
適期の見極めは、抜いたにんにくのお尻が丸い場合は早すぎ、根の部分が水平なら適期、根が食い込んで尻が垂れている場合は獲り遅れです。
保存の仕方
抜きとったら根と茎をハサミで切り取り、4日ほど外で天日干しし、乾燥させてください。
その後は風通しの良い日陰で、一ヶ月ほどさらに乾燥させます。
紐で縛って束にする、網に入れるなどして干すと良いでしょう。
その後は冷暗所に保存しますが、長期間利用したい場合は冷凍庫保存すると良いでしょう。
新聞やラップで全体を包み、臭いが漏れないようジップロックなどに入れて冷凍庫に入れましょう。
ちなみに収穫したものは来年も種球として使用できるので、なるべく大きな鱗片を選んで冷暗所で保存します。
失敗を防ぐの生育診断
葉の先が枯れる
まず収穫期の5月中旬になれば葉は枯れてきます。
それ以外の時期では、冬越しする際に寒さで大体は葉先が黄変したり一部枯れます。
それ以外の時期、肥料が足りていても気温・湿度変化による生理現象で黄変することは往々にしてあるようです。
葉先が枯れたからといって肥大が著しく悪くなることはないので、そこまで心配はいらないでしょう。
割れる
皮が張り裂けて分球が飛び出ることがあります。
原因は三つ考えられます。
①穫り遅れ
②窒素肥料のやりすぎ
③マルチの地温上昇に伴う急激な肥大
①②が原因で裂果したとしても、さほど食味に影響はありません。
③の場合は食味を悪くさせるので、多肥に気を付けましょう。
トウ立ちしない(ニンニクの芽が出ない)
品種によりトウ立ちしにくいものがあります。
福地ホワイト、沖縄早生など品種はにんにくの芽が出ても葉の間で止まったり、葉の中でとどまることも普通です。
それ以外の原因は窒素過多などが考えられますが、トウ立ちしなくても肥大には関係ないことが多いのでそこまで気にする必要はありません。
分球しない・大きくならない
ようは順調に生育しなかったということになります。
ニンニクの場合は高温多湿による根腐れ、追肥時期の遅れなどが原因として多くあります。