家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに白菜の栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心して高菜を育てれる内容になっています。
白菜栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
アブラナ科 | 15~30℃ | 13~20℃ | あり(3年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 早生、中生40㎝・晩生50㎝・ミニ25㎝ | 早生60日・中生75日・晩生100日・ミニ40日前後 | 6.5~7.0 |
白菜の原産地は中国で、冷涼な気候を好む野菜。
生育適温の幅が狭く、約15~20℃で良好に育って葉が巻いてくるため、夏後半に種まきし、気温が下がる秋・冬にかけ栽培するのが適しています。
寒くなりすぎると葉が巻かなくなるため、しっかりと結球させるには種まき・植え付け適期を守ること、暖かい時期にしっかり追肥して外葉を大きく育てることが重要です。
収穫は種まきから3か月半(早生・中生)ほど。
根は細くて広く生長するので、水はけ、水もちのバランス良い土壌が適しています。
土が過剰に水分を含んで通気性が悪くなると、生育不良になりがち。
よってしっかりと深く耕す、バーク堆肥or腐葉土などの植物性堆肥を十分施してあげることが肝になるでしょう。
ポイント
・初心者は夏まき栽培しよう
・堆肥を十分に入れ通気性を良く
・栽培適期を守り、結球までにしっかり追肥
白菜の品種について
白菜は結球するもの意外に、半結球、非結球品種があります。
ここでは結球品種に絞り、初心者におススメな品種を紹介していきます。
品種により栽培期間が異なり、種まきから早生最短60日、中生80日程、晩生110日程が目安。
無双(早生種)
白菜の代表的品種。60日程で出来る早生で、春まき、夏まきともに可能な万能種です。
黄ごころ85(中生種)
病気に強く作りやすい品種。夏まきが適しています。
タイニーシュシュ
ミニ白菜品種で春・夏まきともに可能。約2か月と早々と収穫出来、家庭菜園でも作りやすいです。
白菜の栽培時期
白菜の地域ごとの栽培スケジュールになります。
適期は品種(早生・中生・晩期・ミニなど)によって大きく異なるので、詳細は栽培品種の種袋で時期を確認してください。
ちなみに夏まき栽培が白菜の基本です。
種まき・植え付けが遅れると寒くなりすぎて葉が巻かなくなるので注意しましょう。
春まき栽培は初心者にとって難易度が高いです。保温育苗に加え、ビニールなどを利用したトンネル保温栽培をすることになるので、ある程度栽培に慣れてからおススメします。
土づくり(耕し方と肥料について)
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
畝1㎡あたり元肥量
・バーク堆肥or腐葉土 3~5㎏
(5~8ℓ分)
・化成肥料888 150g
(おおよそ3握り分)
白菜の根は浅く広がるため、元肥と堆肥は20cm程度まで混ぜ込むイメージが良いです。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
・高畝で水はけよく
種まきと育苗
種まきはポットまき、直まきともに出来ます。
白菜は根が弱いので、理想は根を傷めない直まき栽培。
ただ夏の日差しと乾燥に弱く、幼苗は特に害虫被害に合いやすいので、初心者はポットまきの方が管理しやすくおススメです。
ポットまき
培養土を入れた3号(9㎝)ポットへ事前に水をまき、種を5粒均等におきます。
軽く5mm程土をかけ押さえて、たっぷりと水やりしてください。
育苗には夜は13℃以上、日中25℃以下が適しています。
夏まきで気温が30℃を超える場合は、軒下や寒冷紗で日中のみ(夜は露にあてる)遮光し暑くなりすぎない場所で育てます。
本葉が1~2枚小さく出始めるころ、間引いて2本仕立てにしましょう。
本葉が大きく2~3枚になったら生育の良い株を選んで1本仕立てに。
そのまま本葉5~6枚(春まきは7~8枚)ほどの苗に育てていきます。
メモ
大量栽培する場合、セルトレイ(72穴以下がおススメ)穴に1粒づつ種まきすれば、間引く手間が省けます。土が少なく乾燥しやすいので、発芽まで不織布などをかけ保湿します。育苗20日ほど、本葉2~3枚になれば植え付けていけます。春まきの場合は本葉7~8枚まで育てましょう。
直まき
株間、条間共に40cm(晩生50・ミニ25㎝)あけ、空き缶などで1cmの植穴をつくります。
種5粒を均等にまき、5mm程軽く土をかけ手で押さえつけた後、シャワーで水やりすれば完了。
本葉が出始めるころ、間引いて2本仕立てにしましょう。
次に本葉が2~3枚になったら生育の良い株を選んで1本仕立てに。
ポイント
・発芽するまでは表土が乾燥しないよう気を付ける
・発芽後は表土が乾いたら朝水やり(夕は徒長するので萎れていてもやらない)
マルチングは熱害のない白黒マルチで
白菜は風雨による泥はねで葉が腐りやすい野菜。
そのままの栽培でも問題なく育つといえば育つのですが、マルチングのメリットは大きいです。
マルチをすることで泥はねがなくなり病気を防ぎ、地温が保たれる&保水&肥料持ちが良くなり、生長がよくなります。
ただ白菜栽培では気を付けることも。
中間地、特に暖地は黒マルチだと夏の日差しと高温で熱害が出て上手く育ちません。
なので夏まき栽培でマルチを使う場合、近隣の使用状況も確認しながら状況に応じて白黒マルチを使いましょう。
畝の上からマルチをかけた後、株間、条間40cmごと(晩生50・ミニ25㎝)に植穴を開けていきます。
植えつけ
苗は本葉5~6枚ほどを選びます。市販苗は、なるべく葉が出ておらず小さいものを選ぶと良いでしょう。小さく根が回りすぎてない方がスムーズに根付きます。
株間、条間ともに40cm(晩生50・ミニ25㎝)をあけ、ポット大ほど穴を掘って、水をあふれるくらい注ぎこみます。
水を十分にかけた苗をポットから抜いて植穴に置き、軽く土をかけてください。
このとき深植えしないよう注意し、マルチと土の間は熱風にやられないよう土をかぶせておいてください。
最後に再度水をかけて完了。
ポイント
・深植えしない
・植え付けは夏の場合、気温の下がる夕方が良い
・根付くまで1週間は気を付けて水やりしよう
防虫ネットで害虫対策
白菜は害虫被害に合いやすいです。
植えつけ直後から防虫ネットをトンネル状にかけてやりましょう。
特に生育初期の発芽後、植えつけ直後は、必ずと言っていいほどヨトウムシ、青虫などがついて食い荒らします。
水やりについて
白菜は乾燥に弱く、基本的に水分は多めの方がよく育ちます。
葉物野菜の中でも水分(と肥料分)が多めにいる野菜と言えるでしょう。
しかし実際のところ、根付いてしまえば降雨のみでもしっかり生長し収穫出来ます。
注意する点としては、植えつけて根付くまでの1~2週間。
そしてその後、高温時、降雨がなく土の乾燥が激しいようなら、適時水やりする程度で十分でしょう。
ちなみに白菜は、本葉15枚ほど、葉が立ち巻き始める頃から水分を多く必要とします。
結球しきり、縦球状になるまで1週間に1~2回の頻度でたっぷり水やりすればしっかりと巻いた白菜になりやすいですよ。
ポイント
・夏の終わり、高温時は気温の下がる夕方に水やりしよう
追肥は結球するまでが大事
白菜を大きく結球させるためには、葉が巻き始めるまでの追肥が重要。
しっかり肥料をやって外葉を大きく育てることが、大きく巻いた白菜に繋がります。
合計2~3回に分けて追肥します。しっかりと表土を混ぜ合わせ(中耕)てやりましょう。
第一回目は植えつけから2週間後(直まきは最後の間引き後)、化成肥料30~50g/㎡の追肥してください。
マルチをしている場合は間引き後は株元へ、その後は剥がして葉先の土に混ぜ合わせるor小さな穴をあけ肥料を置き肥しましょう。
それから葉が立ち、結球し始めるまで1~2回(ミニはなしか1回)、だいたい2~3週間おきに株の周りへ同量追肥します。
最後の追肥では根がかなり広がっているので、畔(ミニは畝肩)にばらまいてレーキなどで土になじませ、潅水でしみ込ませるだけで十分。
収穫の仕方【花芽も美味しく】
中心の葉が立ち始めたころ、結球した白菜を手で押さえかたくなっていれば収穫期。
外の葉を広げ、玉を斜めに押すようにして包丁で根本から切り取って穫りましょう。
ちなみに結球しなかったからといって落胆しないでください。
葉は問題なく食べれますし、春まで置いておくととう立ちして花を咲かせます。
この花茎が癖なく抜群に美味しいのです。
逆に結球させないでおきたいくらい美味ですよ。
メモ
収穫した後も根をそのまま残し、追肥すれば脇芽が出てきて美味しくいただけます。蕾段階で収穫すれば絶品。ぜひ試してみましょう。
球をしばることで保存しよう
外葉を縛っておけば、霜の被害も抑えられ翌年の1月半ばごろまで収穫せず置いておけます。
寒さにあたることでより一層甘味が増すメリットもあります。
ただしこれは冬の場合だけで、春まき栽培は適期にすぐ穫って食べましょう。
春まき栽培のコツ
春まきではトウ立ちしにくい晩抽性、高温期を避ける早生性の品種を選ぶことが重要です。
一般地で2月下旬から3月下旬に種まきし、しっかりと保温栽培(13~20℃)します。
育苗は保温下でおこない、本葉7~8枚の大苗を作り植え付けてください。
不織布やビニールによるトンネル保温栽培で、本葉が15枚ころになったらトンネルを取り除いて育てましょう。
失敗を防ぐ生育診断
葉が巻かない(結球しない)
原因は3つ考えられます。
①種まき・植え付けがが遅れた
②肥料不足
③その他、病害虫などによる生育不良
白菜が結球するのに適した気温は15℃付近です。種まきや植え付けが遅れると、生長しようやく結球が始まるころ、気温が低くなりすぎて葉が巻かなくなります。
低温(13℃以下を10日以上)によって花芽分化(とう立ちのスイッチ)し、葉の生長がストップしてしまうのです。
よって夏蒔きの場合は遅まきを避け、外葉を十分に生長させ結球させるまで、過度な低温にさらさないようにしましょう。
そして植え付けからある程度期間が経ち、葉が立ちはじめるころまでにしっかり外葉が育ってないと、その後しっかりと巻ききらない、あるいは巻いても小さい縦長状態にしかならないことがあります。
よってはじめにしっかりと肥料をやり、病害虫による生育不良も防ぐことで、大きく十分な数の外葉を育てることが結球成功のもう一つのカギになるのです。