家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。
野菜の根に寄生し、コブを作るor腐らせて生育阻害する「センチュウ」。
家庭菜園で野菜づくりをされる方へ、線虫(センチュウ)の被害から駆除、対策方法・予防までお伝えします。
線虫(センチュウ)とは〜生態と被害の特徴〜
センチュウは1㎜前後の長細い形態で、幼虫から成虫まで土壌中に生息します。
くねくねと土中を移動し、年に数回は生殖活動で増殖しながら、寒い時期も卵で冬越し出来ます。
野菜栽培では、主にネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウが害を及ぼします。
ネコブセンチュウは野菜の根中に侵入し特有の分泌物で多数のコブをつくり、養分を奪いながら繁殖します。
ネグサレセンチュウは根の細胞を腐らせながら養分をとり繁殖。
寄生されると野菜の生育が衰え、根に傷がいくことで青枯病などの土壌感染の病気にもかかりやすくなります。
特に根菜類は根全体がぼこぼこになって変形したり、根の長さが短くなったりと被害が出てしまいます。
水を十分にやっても日中萎れ、夕方になると回復する症状が出るとネコブセンチュウの被害を受けている可能性があります。
ただし株を引き上げて根をみるまではわからないし、栽培中の対策は出来ないのが厄介なところ。
発生しやすい時期
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ネコブセンチュウと根こぶ病の違い
病原菌が侵入して出来る根こぶ病とネコブセンチュウの被害は似ています。
両者の違いで判断しましょう。
・根こぶ病はアブラナ科野菜に発生する。
・ネコブセンチュウは幅広い野菜につき、こぶが小さく根全体に出来る。
※人参の場合、人参こぶ病といってセンチュウ被害に似た病気にかかります。
センチュウが好んでつく野菜
キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、ニンジン、ゴボウ、トマト、サツマイモなど。
ほとんどの野菜につく可能性があります。
逆につきにくい野菜はイネ科野菜のとうもろこしなどです。
駆除・対策方法
センチュウは栽培中に気付くことは困難で、株を抜き取って確認した後の対策か、予防が主になります。
基本的には野菜の連作、多肥を避け、土壌バランスを偏らせないことが増殖を抑制します。
以下、有効な対策方法を載せておきます。
太陽熱消毒
太陽熱と土壌菌の発酵熱で、センチュウや全ての虫、菌を殺す方法。
発酵材料となる米ぬかや定植するための堆肥、元肥をしっかり土に混ぜ畝立てしてください。
たっぷりと水をかけ畝全体を湿らせ、透明マルチを被せて1か月程放置します。(センチュウは40℃以上なら24時間で死滅、45℃なら4時間で死滅する文献あり)
完了したら耕さずに野菜を定植することで、土が混ざらずより高い効果を期待できます。
しっかりとした効果を得るには地温40℃以上を何日も維持する必要があるため、暖かい時期にやりましょう。
ネコブセンチュウに効く農薬(殺虫剤)
石灰窒素は緩効性(ゆっくり効く)の窒素肥料でありながら、土壌中のセンチュウ、菌などを殺虫殺菌する農薬としても登録されています。
はじめはシアナミドという化学成分が土壌中で殺虫殺菌作用を示し、徐々に尿素、アンモニアに変わり肥料として効きます。
散布後すぐは野菜にも害が出るので、10日はおいて定植することが肝。
注意ポイント
石灰窒素散布時のシアノミド成分は人体にも影響を与えるため、使用時はマスク、ゴーグル、長袖が必須になります。散布方法を守れば安全に使用できるため、詳細は日本石灰窒素工業会の注意事項を確認しましょう。
米ぬか
米ぬかを土壌中に混ぜることでセンチュウを減らせます。
米ぬかを好む自活型センチュウの排泄により、アンモニア濃度が高くなってアンモニア耐性が低い植物寄生センチュウが減ります。
1㎡に1kgも混ぜれば十分に効果があります。
すぐに定植すると窒素飢餓を起こす可能性が高いので、20日程度おきます。
太陽熱消毒とセットにするとより効果が高いようです。
対抗植物を植える(コンパニオンプランツ)
マリーゴールドを植えるとセンチュウの増殖を抑制するので、コンパニオンプランツでの利用をお勧め。
アフリカン、フレンチなど品種によって効果に差がある報告もありますが、どの種も効果自体はあるので家庭菜園ではあまり気にしなくて良いでしょう。
そのほか、緑肥作物のクロタラリア、ギニアグラスもセンチュウ抑制効果が高いです。ただし緑肥作物は大抵、根が深くまで張るため家庭菜園では掘り返すときがものすごく大変。
クロタラリアはそこまで根が深く張らない作物なので、お試しで間作してみても良いでしょう。
堆肥や木酢液の使用
堆肥を施用すると有用微生物が増え、センチュウの増殖を抑制すると言われています。
また、木酢液も効果が実証されているわけではありませんが、定植前に100~200倍に薄めて土壌潅水したり、堆肥に混ぜ込むとより微生物が増殖しセンチュウを抑制されると言われています。