もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、インゲンの栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心してインゲンを育てることが出来る内容になっています。
インゲンとは
一般的に豆ごと食べるものはインゲン、未成熟の皮ごと食べるものはサヤインゲンと呼ばれます。
完熟豆を食べる品種もありますが、日本では若サヤを食べるのが一般的。
若サヤは茹でると鮮やかな青色になり、食感はしゃきしゃきとしてみずみずしいです。
お浸しのほか、炒め物やスープにも適し、和・洋・中とアイディア次第でどんな料理にも万能豆といえるでしょう。
種皮には豆類でもトップの食物繊維が含まれており、便秘解消や身体の調子を整えるのに適しています。
さらにビタミンB類も多いことから疲労回復効果も望め、その他ミネラル(カリウム、カルシウムなど)も豊富です。
家庭菜園ではよりみずみずしさが増し、簡単に次々と穫れるのでぜひ育ててみたいところ。
インゲン栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
マメ科 | 20~25℃ | 23~25℃ | あり(3~4年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 30㎝(2本仕立て) | 約2ヶ月 | 5.5~6.8 |
インゲンの原産地は中央アメリカで、やや涼しい気候と強い日光を好む野菜。
収穫は種まきからわずか2ヶ月で出来、初心者にもおススメ。
一年に3回も栽培できることから、三度豆とも呼ばれています。
ただ寒さには弱いので、十分暖かくなってから栽培する必要があります。
また、乾燥&過湿土壌には弱いため堆肥(バーク堆肥or腐葉土)を十分に施し、水持ちと水はけを良くしてやりましょう。
栽培ポイント
・十分暖かくなってから栽培する
・元肥(最初の肥料)は控えめに。
インゲンのおすすめ品種一覧【美味しい】
インゲンはつるあり種とつるなし種に分かれます。
つるあり種は2か月以上にわたって収穫が可能な長期栽培型。
つるなし種は収穫期が約2週間と短いですが、早めに穫れて、支柱を立てる手間もいらずお手軽。
その他、さやが丸いものと広いものに大きく分かれています。
ケンタッキー
モロッコ
ささげ
インゲンの栽培時期
インゲンの地域ごとの栽培スケジュールになります。
土づくり【肥料のやり方・耕し方】
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅60cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
畝1㎡あたり元肥量
・バーク堆肥or腐葉土 3~4㎏
(5~7リットル分)
・化成肥料888 50g
(おおよそ1握り分)
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
・酸性に弱いため必ず苦土石灰をまく
支柱の立て方とネット張り
つるあり種は旺盛につるを伸ばすので、少量(2本)植えるときは植えるときはスクリーン式、4本以上植えるときは合掌式の立て方をします。
どちらも収穫しやすいよう、手の届く範囲の支柱高にしてやると良いでしょう。
きゅうりネットを張ることで、誘引が簡単になります。
各支柱にネットを渡して、ヒモで固定しましょう。
【スクリーン式】
畝の片側の端に、50cm間隔で支柱を真っすぐ刺します。
横にも3本ほど支柱をわたし、交差する場所をヒモで結びつけてください。
【合掌式】
それぞれ50cm間隔で畝の端から斜めに支柱を差し込み交差させます。
交差させた部分に上から横に支柱をのせ、その下も2本程わたしヒモで固定しましょう。
つるなし種の支柱立て
つるなし種も収穫期になると倒伏の危険があるため、4隅に支柱をたて、まとめて囲ってやると良いでしょう。 数が少ない場合は一本づつ立て誘引します。
種まきと育苗【種の向きと発芽のコツ】
インゲンは根が直根性で弱りやすいので、直まきにした方が圧倒的に初期生育が良いです。
鳥害対策が困難な場合や、早植えなどで有効活用したい方のみポットまきをお勧め。
種まきのコツは縦や斜めでなく、横にしておくのが良いです(へそがみえる場合はへそを地面に向ける)。
過剰な水分があると腐りやすいので、発芽するまでは水をやりすぎないことも重要。
注意
・発芽直後はウリハ虫やナメクジに食べられやすいので高台や防虫ネットで対策しよう
直まき
最低気温が15℃以上になってから種まきしましょう。
株間、条間ともに30cmあけ(つるありは条間60㎝)ます。
空き缶などの底を押し付けて深さ3cmの蒔き溝をつくります。
蒔き穴に3粒種を横にして置き、土を2㎝かけ手で押さえた後、控えめに水やりしてください。
鳥害対策として、不繊布を上からゆるく被せておきます。
双葉から本葉が出てきたころに不繊布を外し、3本のうち小さい苗を1本間引いて二本仕立てにしてください。
ポットまきと植えつけ
発芽前は20〜25℃で管理し、育苗は20℃前後になるよう保温して育苗してください。
培養土を入れた3号ポリ鉢に事前に水をかけておきます。
3cm程くぼみをつけ、種を均等に三粒横おいてください。
そして2cmほど土をかぶせ手で押さえ、再度水を控えめにかけ完了。
初生葉から本葉が2枚程出るころに、1本をまびいて二本仕立てにしてください。
この時点で、準備した畑に植えつけていきましょう。
最低気温10℃以上、晴天の午前中を選び、マルチ穴にポット程度の穴を開け、水を入れていきます。
ポット苗にも十分に水をかけ、崩さないように植穴に入れ、軽く土をかけ押さえてください。
最後にまた水をやり完了。
敷き藁と水やり
インゲンは乾燥に弱く、特につるなし種は注意が必要です。
敷き藁をしてやることで土壌乾燥と泥はねによる病気を防ぎましょう。
生育初期時は、表土が乾燥したら水やりしてください。
生育旺盛に穫れだしてから水分を多く必要とするので、収穫&追肥の度にこまごまと水やりするのが良いでしょう。
摘心してつるを増やそう
つるあり種の場合、本葉が5~6枚になり本づるが1mほど伸びてきたら摘心してください。
摘心でわき芽がいくつか出て分岐して旺盛に育つようになります。
それぞれの小づるが支柱の先まできたら、また摘心してあげましょう。
追肥の仕方【タイミングと量】
第一回目は、開花時に30g/㎡(軽く一握り)の化成肥料888を追肥します。
根から少し離れた株間にまき、土に混ぜ込んで(中耕)やりましょう。
二回目は収穫しはじめた頃に同量を追肥してください。
それ以降は2週間を目安に葉色や花付きを観ながら追肥します。
メモ
つるなし種は栽培期間が短いので、基本的に追肥はいりません。
開花時に葉色が薄いようなら一回追肥する程度で良いでしょう。
収穫時期の目安
開花から2週間ほどたち、10~12cmのサヤになったら収穫します。
大きすぎると味が落ちるので、少し小さめでも穫ってしまうのが良いでしょう。
特につるなし種は実が堅くなりやすいので、若穫りを心がけます。
つるなし種は収穫期が2週間と短く、それ以降は樹勢が弱まり味も落ちるので早めに片付けるのが無難です。
失敗を防ぐ生育診断
花が咲かない
原因は一つではありませんが、窒素の多すぎによるつるぼけ(茎葉だけ茂る)が考えられます。
インゲンは豆科で窒素固定(根の共生菌が窒素をつくる)するので、元肥は少なめにしてください。
後は収穫時、実を膨らませて放置しておくと栄養が豆に集中するスイッチ入って、花芽がつきにくくなります。
若いうちに穫るのを心掛けましょう。
実がならない
インゲンはつるなし種の場合、高温に弱く、30℃以上は実をならせることが出来なくなるので初夏までに収穫するよう種まきしなければなりません。(つるありは高温に強いです)
その他、曲がり果や小さな実がなりはじめるとその後の実つきが悪くなります。
樹勢が弱まっているので生長しかけも含め、思い切ってすべて実をとってみてください。
そして追肥と十分な水分をやることで、回復して実をまたつけだすケースが多いです。
生育初期に枯れる
病気感染、老化など要因が多すぎて外部環境を詳細に見なければわかりません。
ただ、インゲンの根は野菜の中でも酸素をかなり必要とするため、過湿で根が弱り枯れるケースがままあります。
水はけを良くするために高畝(20cm以上)にする対策をしておきましょう。