もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、キャベツの栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心してキャベツを育てることが出来る内容になっています。
キャベツとは
キャベツ栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
アブラナ科 | 15~30℃ | 15~25℃ | あり(3年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 40㎝ | 3ヶ月〜半年 | 5.5~6.5 |
キャベツの原産地は地中海沿岸で、涼しい気候を好む野菜。
寒さには強いため冬越しも容易ですが、夏の暑さ(28℃以上)には結球時に弱め。
なので真夏を避ければ周年栽培も可能です。
初心者はトウ立ちしにくい夏まきor虫害少ない秋まき栽培がおススメ。
収穫までの期間は作型で大分異なりますが、春蒔き3ヶ月、夏蒔き5ヶ月、秋蒔きだと半年ほどです。
過湿だと根腐れが起きやすくなるので、堆肥を十分入れて水はけを良くさせてあげましょう。
ポイント
・追肥時期を守りしっかり蒔いたキャベツに
・春・夏・秋まきに適した品種を選ぶ
キャベツの品種について
キャベツは周年栽培できるため、春、夏、秋まき用とそれぞれ適した品種があります。
その中でも育てやすく、初心者におすすめな品種をあげておきます。
四季どりキャベツ 味星(春・夏・秋まき)
春、夏、秋と幅広い季節に蒔ける品種。夏蒔き秋冬穫りが最もよく出来ます。
金系201号(秋まき・春夏も可)
キャベツといえばこれというほど定番種。秋まきが適しています。
やわらかたけのこキャベツ みさき(春・夏まき)
小型でたけのこのような家庭菜園向きキャベツ。種まきから約1か月半で獲れてお手頃。
キャベツの栽培時期
キャベツの地域ごとの栽培スケジュールになります。
種まきと育苗
培養土を入れた3号ポリ鉢へ事前に水をかけた後、種を5粒程均等におき、ごく薄く5mmほど土を被せてください。
そして手で軽く押さえつけ、再度水をかけて完了。
夏まきは高温を防ぐためよしずや不織布などで遮光し、春まきではビニールトンネルや寒冷紗で暖かく(15~30℃)します。
本葉が一枚出るころから葉が重ならないよう2~3回ほどに分け間引き、一本仕立てにします。
この頃から露地環境に慣れさせるため、遮光や加温を取り除いてください。
そのまま本葉4~5枚ほどの苗に育てていきます。
メモ
セルトレイに一粒づつ蒔けば、間引きの手間もなく簡単。本葉2~3枚になればそのまま定植出来ますよ。セルトレイサイズは72穴or128穴で。発芽までは土が乾きやすいので新聞紙(一枚)で保湿し、その後も乾燥に気を付けます。
ポイント
・種が小さいので覆土は薄く
・水はやりすぎない(朝潅水し夕方に土表面が乾く程度)
・保温は温度が上がりすぎないよう日中透かそう
土づくり(耕し方と肥料について)
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日植え付けOK
苗の植え付け
苗は本葉4~5枚ほど(セルトレイは2~3枚)で徒長してない茎の太い苗を選びます。
株間、列間は40cmごとにあけましょう。
ポット大の植穴を開け、たっぷりと水を注ぎこみます。
ポット苗にもあらかじめ水やりし、ポットから外して植え付けていきます。
子葉がみえるくらいの深さで植え、軽く鎮圧しましょう。
最後にたっぷり水やりして完了。
ポイント
・深植えを避け、子葉が見えるくらいに
・晴天の午前中を選ぼう
・植え付け後一週間は根付かせるため水やりしない
防虫ネットで害虫対策
キャベツ栽培の大敵は青虫、ヨトウムシ、芯喰い虫などの害虫です。
春、夏まきの場合は害虫防除のため防虫ネットをかけましょう。
トンネル支柱を使い、すそをしっかりピンで止めるか土で埋めてください。
追肥と土寄せ
キャベツは追肥のタイミングが重要。
しっかりと葉を巻かせ大きなキャベツにするためには、生育初期でいかに外葉を多く、大きくするかにかかっているからです。
一度の量化成肥料60g/㎡(2握り)を2回にわたり追肥します。
・秋まき ①早春の2月ごろ ②結球開始直前
・春・夏まき ①植え付け後2〜3週間後(本葉10枚程) ②結球開始直前
追肥の際、軽く土と混ぜ合わせ(中耕)、葉にかからない程度に土寄せし軽く押さえ、出た茎を埋めてやりましょう。
中耕することで酸素が根に行き届いて生育が促され、土寄せで株が安定し綺麗な結球になってくれます。
収穫
上からみて直径20cmほどの結球になったら収穫期。
キャベツを手で押してみて中身が締まっているかも確認しましょう。
下葉を2~3枚残し広げ、中心の根元から包丁で切り取ります。
適期を逃すと球が大きくなりすぎて、破裂(裂球)し食味も悪くなるため注意。
失敗を防ぐ生育診断
苦い味がする
よく言われる要因は窒素肥料をやりすぎです。ただ元々キャベツは苦みのある成分を含有しているので調理の仕方によっては苦いと感じるのは当然な面もあります。
葉が巻かない・結球しない・丸まらない
さまざまな要因が絡んでいますが、①種まき期 ②肥料&水 が重要です。
一番は品種ごとに種まき適期を守ること。結球時には13〜20℃付近の温度適し、高温(28℃以上)や低温(7℃以下)だと生育が阻害されうまく葉が巻きません。生育中期で低温を感じるとトウ立ちもしやすくなります。
あとは肥料と水を生育前半にしっかりやらないと、そもそも巻くための葉ができません。
腐る
「軟腐病」という病気にかかりなります。高畝にし堆肥を入れるなど水はけを良くすることが予防になります。
トウ立ちしてしまう
秋まき春どりの場合はトウ立ちがよく問題になります。早まきor多肥で育て大きくなりすぎた苗に冬の低温にあたると、トウ立ちします。冬前に育ちすぎているようならスコップで根切りするという荒業もあります。トウ立ちしにくい秋まき品種を選び、追肥時期を守るようにしましょう。
葉が紫色に
冬場の低温に当たるとポリフェノールの一種「アントシアニン」を生成して紫色になります。まったく害はなく、むしろ甘味の乗る目安になるので気にしなくて良いでしょう。
結球が小さい(チャボ玉)
そもそも品種で大きさが異なります。早生種では玉は小さく、葉が薄い、晩生では大きく葉が厚くなる傾向があります。それを踏まえて小さいとなると、生育前半の肥料と水が少ないでしょう。結球前までにどれだけ外葉を多く&大きくするかで玉の大きさが決まります。また春穫り栽培では大苗を早植えすると冬の過乾燥で小さな玉になります。
葉がかたい
生育が悪くなるほど、葉がかたくなります。要因は肥料、水に限らずさまざまですが、盲点として「株間」があります。キャベツはある程度密植状態の方が俄然生育が良くなる傾向にあるからです。大きなものを作ろうとして疎植にしてしまうと小さくかたいものが出来やすくなりますので注意。
玉が割れる(裂球)
多くは獲り遅れでなります。そのほかは結球期に大雨などで急激に水分を吸収した場合などが考えられます。
玉がたくさんできる(分球)
苗の時に貧弱だったり、虫の食害にあい芽を食べられることでおきます。
かかりやすい病気
菌核病(きんかくびょう)
土にあたる部分の葉柄が水がにじんだように腐り、徐々に結球部分まで拡大します。軟腐病のような悪臭がありません。
軟腐病(なんぷびょう)
結球し始めるころから、葉や結球の先から褐色になり、べとべとに腐っていきます。独特の強い悪臭があります。
黒腐れ病(くろぐされびょう)
生育後半で大きな葉が出来てから発生。葉の縁に黄色いV字型の病斑が出来、拡大すると褐色になり枯れます。
べと病(べとびょう)
大きくなった株では、葉脈と葉脈の間ににじんだような淡褐色の病斑が出来る。苗は葉の裏側に霜状のカビも生える。
つきやすい害虫
アオムシ
モンシロチョウの幼虫で、葉に穴をあけるように食害します。生長するほど食欲旺盛になり、一つの葉をスカスカのレース状にすることもあります。
ヨトウムシ
幼虫が葉を食害します。生まれたばかりでは集団で食害し、成長すると分散して食害を繰り返します。被害は甚大で、葉脈以外全部食べつくされることもあるほど。
ハイマダラノメイガ
生育初期の中心葉を食べられやすいです。新芽が食べられて生育不良になったり酷いと枯れます。
タマナギンウワバ
葉の裏側から食害され、小さい穴があいていきます。シャクトリムシ状に歩くのが特徴。
ニセダイコンアブラムシ
成虫と幼虫が群生して葉や茎を吸汁し成長害を受けます。。虫の出す汁でべとべとになったり脱皮殻で株が汚れる。
ナメクジ
夜行性で葉に不規則に穴をあけるように食害します。這った後にキラキラ光る筋があるのが特徴。