野菜の育て方

人参の栽培方法・育て方【 水につける&新聞紙でしっかり発芽!】

人参の収穫

 

家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。

 

家庭菜園初心者向けに、人参の栽培・育て方の基本をまとめました。

 

一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心して人参を育てることが出来る内容になっています。

 

もぐみん
極太の人参をつくるコツ、教えるよ~

 

人参とは

人参の調理

人参は肥大した根部分を食べる緑黄色野菜。

 

最近の品種は甘味が強く癖もないため、子供たちにも人気が出てきています。

 

炒め物、スープ、シチューなど、どんな料理にも合うため調理には欠かせないポピュラー野菜と言えるでしょう。

 

シチューに入った人参

人参が入るだけで料理に彩りが出る

 

栄養分も体内でビタミンAになり吸収されるカロテンがたくさん含まれています。

 

家庭菜園では根部分だけでなく、若葉を間引き菜として美味しく食べれるのが醍醐味。

 

バター炒めにしたりお浸しにすると独特の歯ごたえと人参の香りで美味しいですよ。

 

人参葉のソテー

若葉のソテーはやみつきになる美味さ

 

もぐみん
僕は人参葉を食べたいがために育ててるくらいさ

 

人参栽培の特徴

人参の栽培をしている様子

科目 発芽適温 生育適温 連作障害
セリ科 15~25℃ 15~22℃ あり(3年程あける)
日当たり 株間 収穫まで pH(土壌酸度)
日なた 約10cm 約4ヶ月 6.5

人参の原産地は中央アジアで、冷涼な気候を好み耐寒性のある野菜。

発芽さえさせてしまえば人参栽培は成功というくらい、種まきが重要です。

 

暑すぎても(35℃以上)、寒くても(10℃以下)発芽しないため、日本の気候では春と夏(秋)まき栽培が適しています。

収穫は三寸系(ミニ)で3カ月、5寸系(長径)で4カ月かかります。

深く根を伸ばすため、水はけ、水もちともに上げる堆肥をしっかり入れるのが肝。

 

初期成育も遅いため、雑草に負けないよう適時除草してあげましょう。

 

ポイント

・適温期に種まきし、土を乾燥させない

 

人参のおすすめ品種

人参の品種は細長い東洋系と太い西洋系に大別されます。

スーパーに並ぶ人参はほとんどが西洋系。

ここでは初心者におすすめな品種をあげておきます。

 

時なし五寸(西洋系)

根長が約15~20cmで、とう立ちが遅く春まき初夏穫り他、夏まきも出来る。

 

金時ニンジン(東洋系)

西洋系に比べとう立ちしやすいため、梅雨前の早まきは避け、適期を守ろう。色艶が良く正月のお節には欠かせない存在。

 

ベーターリッチ

色が格段に鮮やか、甘味も癖がない人参界のスターみたいな品種。

とう立ちも遅く春まき、夏まきともに可能。

 

アロマレッド

甘味が強く癖がないこちらも新星の品種。フルーティーな香りがたまらない。

 

人参の栽培時期

 

人参の栽培スケジュールになります。

あくまでも目安なので、詳細は種袋裏を確認してください。

 

生育後半(種まきから一ヶ月半後)に平均気温が20℃前後になるように計算して種をまくのが良いでしょう。

 

人参栽培時期横

 

土づくり【耕し方と肥料について】

 

まず種まきの約一週間前に粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。

 

この時前作で残った雑草や木ぎれなどの残骸物は綺麗に取り除きましょう。

 

人参は深くまで根を張るため、奥までしっかりと耕してください。

 

苦土石灰をまいている様子

粒状が圧倒的に使いやすくおススメ

苦土石灰をまき耕している様子

しっかりと耕し、苦土石灰を混ぜ込もう

 

この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。

 

また肥料を混ぜ込むので、表土はならさずアバウトな畝でOK

 

そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。

 

畝1㎡あたり元肥量

元肥の量

・バーク堆肥or腐葉土 3~5㎏

(約5~8ℓ分)

・化成肥料888  150g

(おおよそ3握り分)

・ようりん 50g

(おおよそ1握り分)

バーク堆肥と888を入れて軽く混ぜ込んでいる様子

表層を軽く混ぜ込むだけでOK

平グワで表土をならしている様子

平グワなどで表土をフラットにしよう

 

土づくりポイント

・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく

・酸性に弱いので苦土石灰は忘れずに

・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK

 

種の準備

新しい人参の種

 

人参の種は新しいものを準備してください。

寿命が短く、数年経つと発芽率が悪くなります。

そして種は小さくて吸水力が弱いため、前日に水につけて発芽率をアップさせましょう。

 

人参の種を一昼夜水につけた様子

布に包んで水に一昼夜つけよう

人参を一昼夜吸水させた後取り出した様子

しっかり吸水させた後の種

 

メモ

想像以上に種は小さいため、蒔きやすさを優先するならペレット種子を使うのが良いでしょう。

ただし水分を含ませた後、乾燥させると堅くなって発芽できなくなるので注意してください。

 

種まき【水につける&新聞紙が肝】

一昼夜つけた人参の種

人参栽培は発芽が一番の難関です。

 

種まきポイント

①種が流れないよう表土をかたくプレス

②発芽には光がいるためごく薄く土を被せる

③発芽まで表土が乾燥しないよう毎日水やり

④もみ殻、不織布、新聞紙などを併用し保湿

 

以上の4つのポイントを守ることが発芽を成功させるための秘訣。

 

種まきは雨後が最適ですが、晴れの場合、事前に畝へたっぷり水をまいてあげてください。

 

人参の種まきで畝を湿らせている様子

畝をしっかり湿らせておこう。乾いていたら1㎡5ℓ以上は必ずやりたい。

 

土の表面をレーキなどでたいらにし、平グワや足でプレス後、支柱で深さ1cmの溝を条間(or株間)20cmおきにつくります。

 

人参の種まきのため畝をプレスしている

しっかりと土を圧着プレスしておこう

人参の種まきで植穴をつけている

支柱で浅く植穴を

株間20cmあけて植穴をつけている

間は20㎝あけて植え穴をつくる

 

溝に種を1cmごとにまいて、5mm程ごく薄く土をかけ、手でしっかり押さえてあげてください。

 

人参の種まきをしている様子

どうせ間引くので1cm間隔にこだわらず捻りまきしてもOK

人参の種まきをし覆土をしている様子

覆土は5mm程(なしでもOK)、しっかり押さえつけよう

 

乾燥防止のためもみ殻をたっぷりとまき、不織布や新聞紙でべたがけします。

最後に再度たっぷりの水をやって完了。

 

人参の種蒔き後、もみ殻をかけている様子

もみ殻をかけて保水性をupさせる

人参の種まきで水をかけている様子

これでもかと水をかけておこう

不織布をかけている

不織布の保水力は抜群

不織布をかけおわった

新しいと初め水をはじきやすいのだけが難点

 

毎日水やりを欠かさず、芽が出そろったころに不織布を取り除きましょう。

適期(気温15~25℃)であれば10日前後で発芽します。

 

人参が発芽した様子

発芽が揃ったら不織布を外そう

 

もぐみん
暑すぎても、寒すぎても発芽は遅れるよ~

 

寒冷紗トンネル栽培(春まき栽培)

春まき栽培で2月中旬の早めに育てたい場合、寒冷紗を使用してトンネル栽培すると良いでしょう。

 

水やりの頻度

人参は発芽してしまえば乾燥にも耐えるので、露地では降雨のみでもそこそこ育ちます。

 

ただしっかりと大きく良いものをつくるなら、生育前半(本葉6~7枚、発芽から一ヶ月半程)は表面が乾燥しないよう十分に水やりをすることをおススメします。

 

逆に生育後半は水やりはしない方が、水分ストレスで美味しい人参になります。

 

間引き・追肥・除草

人参で良いものをとるためには、適切な間引きが欠かせません。

間引いた苗と根は柔らかくて美味しく食べれるため、これも人参栽培の醍醐味と言えるでしょう。

 

人参を間引いた苗

間引き苗の美味しさは格別。ぜひ食べてみてほしい。

 

間引く際は追肥と、人参より生育の早い雑草の除草を必ずおこなってください。

 

第一回目の間引きと追肥

人参が5㎝以上の苗、本葉3~4枚になって間引きごろ

 

本葉3~4枚、草丈が5cmほどになったら指1本入る2cm間隔で間引いていきます。

 

人参の間引きをしている様子

混みあってる箇所は躊躇なく間引いていこう

 

このとき化成肥料30g/㎡(一つかみ)を株元に追肥し、株間の土とよく混ぜ込んで(中耕)ください。

 

人参に追肥をしている様子

表土としっかり混ぜ合わせ空気を入れてあげよう

 

もぐみん
人参は競り合うことでしっかり生長するから早く間引きすぎないようにね

 

第二回目の間引きと追肥

人参が20cm以上になり間引きごろ

 

続いて、本葉5~6枚、草丈が15~20cmほどになったら握りこぶし間隔(10cm以上)で間引いてやります。

 

間隔が狭いと人参が十分に肥大しないので注意しましょう。

 

最後の間引きをしている様子

大きすぎず、小さすぎない苗を間引いていこう

間引いて10cmほどの間隔にする

 

このときも化成肥料30g/㎡を株元に追肥し、土に混ぜ込んで(中耕)やります。

根の部分は日に当たると緑化するため、軽く土寄せして人参が見えないようにしてやりましょう。

 

もぐみん
緑化しても無害で食べれるから、そんなに気にしすぎなくて良いよ

 

ポイント

・間引きは徒長しすぎ、小さすぎの苗を選び、平均的なものを残す

・初期に肥料は利かせすぎず、後半しっかりと肥料をやるのがコツ

 

収穫時期

人参が収穫できるくらい生長した状態

 

根の肩が張り出し、根の太さが4~5cmになったら収穫時期。

小さい三寸品種は3ヶ月程、大きめの五寸系は4カ月ほどで穫れますよ。

根元から手で引っ張ると簡単に抜けます。

 

人参を収穫している

引っ張ればすぐにすぽんと抜ける

人参を収穫した様子

抜いてみたら細かったなんてこともよくある

人参を収穫し葉を切っている

葉はその場で切り捨ててOK

 

春まきの場合は暑さに弱いため適期に穫りますが、夏まきの場合、冬越して2月頃までゆっくり収穫することが出来ます。

 

保存の仕方

人参は寒さにめっぽう強く、夏まきの場合、植えたそのままで冬越し出来ます。

しっかり土寄せして霜が根に当たらないようにすれば、根は枯れてしまいますが春まで保存がきき美味しく食べれますよ。

 

人参の花が咲いた

夏に収穫するものは放置しておくととう立ちし、食味が落ちる

 

失敗を防ぐ生育診断

 

発芽がまばらなのは何故?

人参は野菜のなかでも発芽させるのが難しいと言われてます。

肝となるのは水分なので、適期を守っても発芽しなかったりまばらだった場合、確実に水やり不足。

 

又が割れた人参が出来る

収穫した人参が又になるのは、土中に未熟堆肥や石、前作の残骸が障害となったためです。

味は一緒なためそこまで神経質になる必要はないですが、耕すときに取り除くようにしましょう。

それ以外に、土壌水分の過不足によっても起きやすいです。

 

短い人参になる

人参は生育前半(1か月半)で下に長く伸び、その後横に肥大していきます。

前半に水分不足だと短くなりやすいです。

 

大きくならず、でこぼこした形に

生育後半(1.5ヶ月後)の肥料が足りてません。生育初期は肥料控えめで水分多め、後半からは水分は少なめで肥料をしっかり効かせることで良い人参ができます。セオリー通りにやってもできない場合、土壌が痩せすぎている場合があるので、腐葉土やバーク堆肥を入れ肥料を保持する力をあげてやる必要があります。

 

人参の表面に割れ目が入る

割れ目が入る場合、取り遅れ、多くは肥料過多である場合が多いです。特に生育前半に多く肥料をやりすぎると割れます。

適量を守り追肥をし、取り遅れないようにしましょう。

 

人参の色が薄い

そもそも売られている人参は専用機械で綺麗に洗われた後のものなのでより鮮やかに見えます。

人参は種まきから2ヶ月ほどで気温20℃を下回ると色が薄くなる傾向にあります。なので良い色を育てたい場合は夏の遅植えを避けるのも一つの手です。

生育後半に水分過剰になると色、味ともに落ちやすいです。

ちなみに真っ白で細い人参ができた場合は「先祖返り」と呼ばれ、まれに遺伝子異常で原種そっくりの状態で出来る場合があります。

 

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