家庭菜園初心者向けにオクラの栽培・育て方の基本をまとめました。
栽培のコツや病害虫対策、コンパニオンプランツ(混植)も網羅していますので、この記事だけで安心して美味しいオクラを育てれるようになっています。
オクラ栽培の特徴
種類 | 科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 | PH(土壌酸度) |
オクラ | アオイ科 | 25~30℃ | 20~30℃ | あり(2年程あける) | 6.0~6.5(弱酸性) |
オクラの原産地はアフリカ北東部で、高温で日光がよく当たる環境を好む野菜。
種まきから収穫までの期間は約3カ月で、苗からだと1カ月半かかります。
寒さにめっぽう弱い方で、10℃以下では生育できず枯れてしまいます。
ただ真夏の暑さには強く、乾燥、多湿どちらでも旺盛に育ちます。
水はけ良く肥えた土を好み、酸性土壌に弱いためしっかりと堆肥と苦土石灰を施しましょう。
ちなみに花は南国に咲く種のように鮮やかに咲き、観賞用としても楽しめますよ。
ポイント
・十分に暖かくなってから(夜温15℃以上)種まきする
オクラおすすめの品種一覧
オクラは早穫りが基本ですが、なかには大きくなっても筋がなく美味しい品種があります。
ここでは初心者におすすめな品種をあげておきます。
ベターファイブ(互角オクラ)
ピークファイブ(五角オクラ)
エメラルド(丸オクラ)
ベニー(赤オクラ)
スターオブデイビッド(ダビデの星)
ヘルシエ
レディーフィンガー
オクラの栽培時期
オクラの地域ごとの栽培スケジュールになります。
種まき・育苗【直播もOK】
種まきは直まき、ポットまき両方ができます。
オクラの種はかたく吸水しにくいので一昼夜水につけておいてください。
蒔いてから順調であれば4~6日あれば発芽します。
ポットまき【保温をしっかり】
培養土に入れた3号ポリ鉢へ事前に水をかけ、種を6粒均等に蒔きます。
軽く上から押さえつけ土をかぶせ、水を再度かけて完了。
発芽率を上げるため、ビニール温室や不繊布をかけるなどなるべく暖かい場所(25℃~30℃)におきましょう。
本葉が1枚出るころに二本をまびいて4本仕立てにします。
この頃から外気温に慣れさせますが、15℃以下にならないようにしましょう。
そのまま本葉2~3枚ほどの苗に育てていきます。
直まき【暖かい時期から】
低温に弱いので一般地で5月中旬以降(夜温15℃以上)に蒔きましょう。
直まきは株間20cmあけ、空き缶などで蒔き溝を2cmつくり6粒均等に蒔きます。
1cm程土をかけしっかり押さえた後水をたっぷりかけ完了。
ポット蒔きと同様、本葉1枚出る頃に2本間引いて4本仕立てに。
低温に弱いので不線布のトンネル栽培をした方が失敗がありません。
本葉が出てからは、いきなり外すのでなく、何日か半分透かすようにしましょう。
ポイント
・表土が乾いたら朝に水やりしよう(夕方やると徒長する)
・ポット蒔きは保温で気温の上がりすぎに注意
密植栽培(4本仕立て)について
1本仕立てにすると茎は太くなりますが場所をとり、実もすぐ堅くなりやすいです。3~4本仕立てにすることで樹勢を抑え柔らかい実を収穫出来ます。しかも1本仕立てより結果的に収量が上がるので、俄然おススメの方法です。
土づくり【耕し方と肥料について】
まず苦土石灰を200g/㎡まき、しっかりと耕します。
高さ20cm、幅90cmの畝をつくり、地面から20㎝の深さまで掘り堆肥・元肥を入れます。
畝1㎡あたり施肥量
バーク堆肥(or腐葉土)を3kg(バケツ〇杯)
化成肥料888150g(3握り)
ようりん50g(1握り)
ポイント
・酸性土壌が苦手なため苦土石灰を忘れずに
・一週間前にはおわらせておく
マルチング【保温&水やり減効果】
オクラは地温が高い方が生育が良いため、マルチで保温してやりましょう。
地温を安定させておくため植え付け一週間前に終わらせておくのが理想です。
黒でも良いのですが、透明マルチがより保温効果が高くておすすめ。
害虫防除したい場合はシルバーマルチを使う手もあります。
面倒なら敷き藁をおくのもよいでしょう。
苗の植え付け【株間狭めの密植で】
苗は本葉2~3枚以上になったものを選びます。
市販苗も1ポットに数本仕立てになった状態ですが、1本に間引かずそのまま数本仕立てで植え付けましょう。
オクラは低温に極めて弱いため、早植えは避けて一般地で5月中旬(最低気温15℃以上)になってから植え付けます。
株間、条間ともに20cmあけてください。
ポット大の穴を掘り事前に水をあふれるくらい注ぎます。
水をかけた苗をポットから抜いて植穴に入れてください。
株元を持ちながら土を戻して軽く押さえます。
最後に再度たっぷりと水やりをして完了。
ポイント
・植え付け1週間は根付かせるため水やりを控える
・地温を確保するため、晴天の午前中を選ぼう
水やり【頻度や量、やる時間は?】
オクラは乾燥に強いため、水不足で枯れる心配はほぼありません。
生育初期はむしろ過湿に弱めなので、潅水は控え、やりすぎない方が無難。
ただし乾燥が続くと実のなりが悪くなり、サヤがかたくなるなど品質がガタ落ちします。
梅雨明け後、表土が乾燥したらたっぷりと水やりしてください。
特にマルチなしはすぐに乾燥して実がかたくなりやすいので、気をつけて水やりしましょう。
剪定(摘葉)は旺盛に収穫出来る夏
収穫が始まり、生育が旺盛になる梅雨明け頃に摘葉をします。
収穫した位置からすぐ下側の大きな葉を2〜3枚を残して、下葉を株元からとっていきましょう。
たまに脇芽が出ることがありますが、この時一緒に摘み取ってしまいます。
葉をとることでより日当たりと風通しがよく健康になり、着果が多くなります。
その後も収穫の度に大きな葉が増えたら、つねに2〜3枚になるよう摘葉していきましょう。
しかし、既になり疲れて全体が萎れ気味の場合、葉をとるのは一旦やめ追肥や水分を十分にやるようにしてください。
追肥の仕方【いつ・どこに? 肥料種類は?】
オクラは直根性で下に深く伸びますが、旺盛な生長で横にも長く広がります。
根に伸びる先へ追肥するのが一番効くため、生長に伴って徐々に肥料をやる箇所を離してきましょう。
植えつけ時から二週間後、例外的に植穴付近へ化成肥料888を一つまみ(5g)ほど化成肥料をやります。
それから一番果がなり収穫できるころ、化成肥料888を30g/㎡(一摘み)を株間にマルチ穴をあけおきます(穴肥)。
3回目以降は二週間おきに畝肩にマルチ穴を小さくあけ同量をおきます。
真夏になるころには根がしっかり伸びているので、畝間の畔へ同量をパラパラと蒔くだけで効いてきます。
マルチなしの場合もやる箇所は同様の手順ですが、土に広く蒔き軽く土と混ぜ合わせるようにしましょう。
メモ
オクラは花がついたすぐ上から若葉が3枚以上出ていれば、順調な生育状態です。
逆に花が株の登頂部のみに咲くときは生育不良で多くは肥料不足のサイン。
葉が細くなる場合も肥料不足。
支柱立て【必要なタイミングは?】
オクラは丈が高くなるため風で倒伏しやすいです。
植え付けて草丈が30cm以上になったら支柱立てをしましょう。
畝の四隅に支柱を立て、ヒモで囲ってやると良いでしょう。
株が少ない場合は一本支柱を立て4本仕立てにそれぞれ誘引します。
収穫時期【いつまで穫れるか】
開花してから約一週間後(最盛期は3日)、五角オクラ6~7cm、丸オクラ15cm程になったらハサミで切り取って収穫します。
樹液で手がかぶれる可能性があるので、軍手・長袖などを身に着けてとりましょう。
五角オクラは一日とり遅れただけでも大きくなりすぎて筋が多いオクラになりがち。
毎日見逃さないよう小さめの実を収穫していきましょう。
メモ
オクラは蕾も食べることが出来ます。花が咲く前に花元からハサミで切り取って収穫します。サラダで食べたり、天ぷらにすると絶品ですよ。
失敗を防ぐ生育診断
植物に起きる問題は、さまざまな要因が重なりあっておきることがほとんどです。
ここでは単一の問題に対し、よくある要因をピックアップして説明しています。
鵜呑みにせず、一つの参考程度に捉えてください。
葉が落ちる
根が傷むことで葉が落ちます。傷む原因はポットで根が回りすぎ、老化によるもの、肥料焼けなどさまざまです。
生長が遅い・大きくならない
よく極端に生長が遅いと気にしてしまいますが、オクラは初期生長はかなりゆったりとしています。
特に気温がさほど高くない梅雨時期は大きくなりにくいです。
「気長に待つしかない」というのが答えですが、焦って肥料をやると実がつくにくくなるのでやめましょう。
実がならない
花芽がつく前の生育初期に肥料を施しすぎたことにより、木ぼけしてしまったことが原因です。
木ぼけしてしまうとシーズン中収穫が激減するので、元肥と実がなるまでの追肥は控えめにしておきます。
実が曲がる・イボ(ツブツブ)が出来る
実が曲がるのは実に栄養が上手くいきわたらずおきます。
カメムシにより実を吸われたり、肥料不足による樹勢低下が原因として考えられます。
カメムシ防除、追肥により対策しましょう。
イボが出来るのも樹勢が低下したサインですが、原因は日照り不足や低温にさらされた場合が多いです。