もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、玉ねぎの栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心して玉ねぎを育てることが出来る内容になっています。
玉ねぎ栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
ヒガンバナ科 | 15~20℃ | 20~25℃ | 少な目(1年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 10~15cm | 苗から約7ヶ月 | 6.0~6.5 |
玉ねぎの原産地は中央アジアで、冷涼な気候を好み耐寒性に強い野菜。
収穫は種まきから10ケ月ほど、苗からでも約7カ月と長期栽培になります。
土壌は選ばない方ですが、根が浅く広がるため乾燥に弱く、肥料を吸う力もあまりありません。
水もちの良い粘土質土壌か、バーク堆肥or腐葉土など腐植に富んだ土壌にすることが肝。
玉の肥大には適切な日の長さと温度が関係しているので、品種により種まき&植えつけ適期を守ることが栽培で最も重要です。
ポイント
・時期にあった品種を植える
・追肥の時期を守ろう
玉ねぎの品種について
玉ねぎは黄たまねぎ、赤たまねぎ、白たまねぎの三種があります。
どれも、早生、中生、晩生と植えつけ、栽培時期が異なる品種があるので適期を見極めて選びましょう。
黄玉ねぎ
最もポピュラーで一般的な玉ねぎ。貯蔵性が高く、辛みが強いのが特徴で、さまざまな品種が出ています。
赤玉ねぎ
皮は赤紫色で、中身も赤まじりの色。
辛みが控えめで甘味が強く、水分が多いのでよくサラダに使われます。長期保存にはあまり向いてません。
白玉ねぎ
皮、中身ともに白色。甘味が強く辛み控えめなため生食が向いているため、サラダ玉ねぎとも言われます。貯蔵性は良くないので春先のみ食べて楽しみます。
玉ねぎの栽培時期
玉ねぎの地域ごとの栽培スケジュールになります。
玉ねぎは品種(超極早生~晩生)により種まき、植えつけから収穫時期までかなり違ってきます。
必ず種袋裏の栽培時期を確認し、苗の植えつけ時期は最寄りJA(農協)に確認するのが無難でしょう。
種まきから育てる
種まきからだと2か月は育苗にかかります。
初心者はまず苗を購入して栽培するのもおススメ。
1㎡の畝で上手く作れば300本ほどの苗になるので、栽培規模を考えて種まきます。
育苗用土づくり
種まき一週間前に、苦土石灰150g/㎡(おおよそ3握り)を混ぜ込みしっかりと耕し畝にします。
当日バーク堆肥2~3kg/㎡、化成肥料100g/㎡(2にぎり)、ようりん50gの元肥を混ぜてうないこんでください。
幅90cm、高さ10cm程度の畝を作りなるべくレーキなどでなるべくフラットにしてください。
種まき
畝の土が乾燥しているようならしまりを良くするため、軽く水をかけ湿らせてください。
そして平グワor足で表土を圧着しましょう。
条間10cmごとに支柱を押し当て、1cm深のまき溝をつくります。
上から種を5mm~1cm間隔で筋蒔きして、5mm程土をかけ、手でしっかりと押さえつけます。
ここで、ふるいを使って細かい土をかけ手で押さえておくと発芽が良く揃いやすいです(初め畝プレス前に表土をふるいにかけておくとなお良いです)
メモ
粘土質土壌なら元々細かく保水力が高いので、圧着やフルイ土がなくともしっかり発芽するケースが多いです。
最後にたっぷりとシャワー水をかけ、上から不織布をかけて完了。
一週間ほどで発芽しますので、それまで毎夕水やりし、大方出そろったら不織布は取り除いてやります。
芽がぴんと立つまで被せておくと、不織布に当たって枯れの原因になるので注意。
育苗の仕方
植え付けまで大体2ヶ月程かかります。
育苗で最も大事なのは水分管理で、特に発芽してから2~3週間は乾燥に気を付け水やりをしましょう。
間引き
5mm~1cm間隔で種まきした場合、間引きはいりません。
少々込み合っていても問題なく太い苗になりますし、むしろ育ちが良くなります。
上写真のように、0距離で苗が固まっている時のみ草丈が本葉2枚(5~7㎝)時に5mm以上間隔に間引けば良いでしょう。
育苗時の追肥
本葉2~3枚、草丈10cm前後になったら、化成肥料888を30g/㎡を条間に追肥し、軽く混ぜ込み(中耕)して下さい。
それから約2~3週間後、葉色が薄く生長が悪いようなら、もう一度同量追肥しましょう。
メモ
粘土質など、肥沃な土壌の場合は追肥せず元肥のみで十分育つケースが多いです。
そのまま草丈20~25cm、太さ5~6mm(鉛筆の芯より少し細い)になるよう育てます。
植え付けの際に掘り出す時は、フォークを使って畝横から突きさすと取りやすいですよ。
土づくり【耕し方と肥料について】
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
タマネギの根は浅く20cm程度広がるため、元肥も同じほど混ぜ込むイメージが良いです。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・玉ねぎは酸性に弱いので苦土石灰散布はしっかり
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
マルチングしよう
玉ねぎは根が浅く、乾燥と多湿に弱い野菜です。
土中の水分状態を適度に保ち、雑草も抑えるためぜひ黒マルチをしましょう。
あらかじめ穴のあいた玉ねぎ専用のもの購入すると楽です。
しかし穴が大きい分、雑草も生えやすいデメリットも。
通常黒マルチに、株間、条間ともに10~15cm間隔でマルチ止め具などで小さく穴をあけていくのもおススメです。
苗の準備と植えつけ
草丈20~25cm、太さ5~6mm(鉛筆の芯程)の苗を用意します。
市販苗を購入する場合、ホームセンターは本来植え付ける時期より早く販売される傾向にあります(全てのお店がそうという訳ではありません)
結果早植えし、とう立ちしてしまう‥といったことがあるので、ベテランに植え付け時期を確認するか、最寄りの農協(JA)に適期を確認し予約購入すると安心でしょう。
苗は植えつける前に太い苗と細い苗に分類しまとめて植えると、均一に玉が肥大するようになりますよ。
そして根切りをした方が植え付け時の作業性と、後半の根付きが格段に良くなるのでおススメ。
葉が長すぎる場合は切っても構いません。
メモ
小さすぎる苗(4㎜以下)を植えると途中で枯れてしまったり肥大が悪くなります。逆に10mm以上太い苗を植えると、春先にとう立ちしてタマネギの芯が堅いものが出来やすいです。
植え付け
株間、条間は10~15㎝。
マルチの穴に指で押し込むように一本ずつ植えつけていきます。
深植えは避け、白い部分が地上に出るくらいで植えてください。(3cm深の穴を指であけ、苗の分岐に土がかからない程度に押し込む)
株がぐらつかないよう軽く土をかけ押しておくとよいでしょう。
植えつけた直後は倒れていますが、二週間も経てば根付いて直立してくるので心配いりません。
最後にたっぷりと水やりをして完了。
放置しても根付く強さは持っていますが、1~2週間は乾燥に気を付け水やりするのが無難です。
メモ
家庭菜園では密植の株間、条間10cmがオススメ。玉が10cm程で小さめの方が貯蔵が効くからです。もし大きな玉に育てたい場合は、15cm程度間隔をあけて植え付けましょう。
水やりの頻度(植え付け後)
玉ねぎは根が浅いので乾燥には弱いですが、基本的に降雨のみでしっかり育ちます。
植え付け後、根付く1~2週間は表土が乾燥しないうちに水やりするのをお勧め。
その後は天候にまかせ水やりはいらないでしょう。
春になり肥大が始まると水分が多く必要になるものの、降雨まかせで十分です。
適切な追肥で小さい球を大きく
玉ねぎは肥料を吸う力が弱いため、しっかりと太らせるためには生長する段階で追肥が必要です。
追肥は2回、植えつけ1か月後と、寒さがゆるみ肥大が始まる早春にやります。
一回目は植え付け一か月後、化成肥料888を1株2g(一つまみ)マルチ穴に入れていきます。
第二回目は寒さがゆるみかける2月中旬(一般地)に同量追肥しましょう。
追肥の時期が遅れると、実が腐りやすくなるので注意します。
メモ
株数が多い場合、マルチの上に30g/㎡ばらまく方法もあります。ただし畝がしっかりと平である、マルチ穴がしっかり開いていなければなりません。
収穫と保存の仕方
全株が8割型倒伏したころ、収穫期です。
収穫を遅らせるとさらに大きくはなりますが、腐りやすくなるので注意。
晴天が数日続き、土が乾いた状態で穫りましょう。
株元を手で持って引っ張ると簡単に抜きとれます。
午前中に株を引き上げ、半日日に当てて乾燥させてください。
保存は風通しの良い場所に、4~5株ほどくくりつけ、吊るしておくとよいでしょう。
つるす場所がない場合、葉茎を切り取って網かごや段ボールに入れ冷暗所で保存します。
メモ
もし、卵にも満たない玉ねぎがたくさん出来てしまった場合。捨てるのはもったいないです。
そのまま空いた畑に玉半分が埋まるくらい浅植えしてみてください。
2~3カ月もすればネギのように生長してきます。
その葉は、葉玉ねぎとしてネギと同様に美味しくいただけますよ。
失敗を防ぐ生育診断
とう立ちする(ネギ坊主)
春先にたまねぎがとう立ちし、ネギ坊主が出来てしまうことがあります。
大きめの苗が一定期間低温にさらされることでトウ立ちします。
品種ごとの適期より早く植えすぎた、大きな苗を植えすぎたことでとう立ちしやすくなります。
窒素肥料分が少なすぎてもトウ立ちします。
もしトウ立ちし花芽がついていたら、早めに切り取って除去するようにしましょう。
そのまま残しておくと玉ねぎに芯が入り硬くなります。
球が腐る
早世は腐りやすく、中性、晩生になるほど貯蔵が効きます。
また、球のサイズが大きければそれだけ腐りやすくなります。
腐敗を防ぐためには収穫後にしっかりと乾燥させ、玉ねぎを重ねない、風通しの良い場所におくことも重要。
窒素肥料をやりすぎ(追肥時期の遅れ)も軟弱に育ち、腐りやすくなるでしょう。
栽培中に腐るのは、肥料過多や多湿による病気感染が考えられます。
球が太らない・大きくならない
要因が多すぎてこれとは言えません。
適切な酸度矯正、肥料、水分があり病気感染なければ肥大します。
植え付け時期が遅れて小さい苗だと肥大が悪くなることがあります。
そのほかは4月以降の肥大期に乾燥が続いて降雨がなかった場合なども考えられます。
球が割れる
追肥の遅れ、あるいは穫り遅れで肥大しすぎて裂球になることがあります。
そのほか、古い種や老化苗(長く育苗しすぎ)を植えた場合でもなりえます。
肥大期に急激な温度差があるとおきることがあります。