もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、山芋の栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心して山芋を育てることが出来る内容になっています。
山芋とは
山芋はナガイモ、ジネンジョ、イチョウイモ、ツクネイモ・ダイジョとたくさんある品種の総称です。
「山のうなぎ」と呼ばれるほど栄養豊富で身体にすこぶる良く、漢方薬としても使用されるほど。
消化酵素であるアミラーゼが大量に含まれており、なんと大根の三倍あります。
栄養吸収を助け新陳代謝をよくする効果も。
またカリウムが豊富なことにくわえ、疲労改善効果の高いアルギニンが多く含まれているのです。
そしてなんといっても粘りとコクのある食味がたまらないでしょう。
すりおろして「とろろ」にしてご飯にかけて食べてもよし、お好み焼きなどに混ぜればふわふわの食感を味わうことが出来ます。
家庭菜園では山芋の高級品である自然薯も栽培できるので、ぜひ挑戦して極上の粘りコクを堪能しましょう。
山芋栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
ヤマイモノ科 | 17~27℃ | 17~27℃ | あり(4年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 30㎝(袋栽培は1袋2~3個) | 半年 | 6.0~6.5 |
山芋の原産地は中国で、日当たりと水はけの良い環境を好む野菜。
種芋を植えることで、萌芽し、葉を這わせ、地中では芋が肥大して収穫出来ます。
植え付けから収穫までは約半年。
多湿には弱くすぐに種芋が腐敗しやすいため、なるべく高畝にします。
長芋、特に自然薯はかなり深く伸びるので、波板やクレバーパイプを使った栽培で掘りやすくする栽培が主流。
ポイント
・しっかりと耕し小石を除去する
・家庭菜園では袋栽培・波板栽培がお勧め
山芋の品種について
山芋は総称で、長芋、自然薯、つくね芋、イチョウ芋、ダイジョと品種があります。
それぞれ育ち方は大まかに変わりませんが、長いものと短いものがあり、粘りや味も異なります。
地域によって違う品種が同じ総称で呼ばれていることもあり、正直ややこしいのが実際。
ここでは一つ一つ総称も含め、紹介していきます。
※リンク写真は長芋以外、種芋用ではありません。
自然薯(ジネンジョ)
粘りとコクが最も強い山芋。正式名は「ヤマノイモ」。2m以上の長さになることもありますが、短径品種もあります。
長芋(ナガイモ)
スーパーでも良く見る、山芋の代表的品種。長さは1mほどで、粘りは控えめですがシャキシャキと歯ごたえ良いのが特徴。
ツクネイモ
粘りが強く、関西地方で栽培されている。地元では山の芋や大和いもと呼ばれることもある。丸みを帯びて長さがないため収穫しやすいです。
イチョウイモ
関東地方でよく栽培されています。地元では大和芋とも呼ばれる。イチョウの葉の形に似て収穫しやすく、長芋より粘りが強い傾向。
ダイジョ
紫山芋、台湾山芋、沖縄山芋、九州地方では「つくね芋」と呼ばれる。形は不規則で大きくなりやすい。強烈な粘りは自然薯にも匹敵します。
山芋の栽培時期
山芋の地域ごとの栽培スケジュールになります。
中間地は一般的に4月おわりから植え始め、晩秋の11月半ば以降に穫ります。
自然薯は寒さに弱いので霜が降りるまで収穫し、長芋はそのまま来春まで地中に置いておけます。
種芋の用意
ホームセンターなどで4月~5月初旬に種芋を購入しましょう。
スーパーなどの食用品は栽培用で考えると弱った状態なものが多いので、避けた方が無難です。
大きなナガイモ、ツクネイモ、イチョウイモはそのまま植え付けると大きすぎるため、50g大に切りましょう。
包丁で軽く切り目を入れたらぽきっと折った方が組織を破壊せず良いです。
切り口には腐れ防止で、苦土石灰or草木灰をまぶし乾かしてから植え付けてください。
ちなみにホームセンターで売っている自然薯、長芋の種芋は大抵小さく細いので、そのまま植え付けて構いません。
注意ポイント
購入して封を開けないまま保管しておくと腐るので、なるべく早く植えつける
メモ
実はスーパーの芋の皮でも芽が出るほど、山芋は発芽力があります。もし残り皮があるなら、植えてみてはいかが? ただし満足のいく芋を収穫するには何年かかるでしょう…
土づくり(耕し方・肥料のやりかた)
まず植え付け1週間前に苦土石灰を200g/㎡をまき、しっかりと耕します。
丸形のツクネイモ、波板栽培などをする場合も、30cm深は耕した方が良いでしょう。
高さ30cm、幅1mほどの畝を立てておきます(波板や袋栽培はいりません)
堆肥、元肥は植え付け当日に混ぜ込みます。
畝1㎡あたり元肥量
・バーク堆肥or腐葉土 3~5㎏
(5~8ℓ分)
・化成肥料888 150g
(おおよそ3握り分)
土づくりポイント
・苦土石灰散布は植え付けの一週間前に終わらせておく
・小石など異物はよく取り除いておく
植え付け方
長芋、自然薯はかなり深くまで芋が伸びます。
50~100㎝の深さを事前に耕し、掘るのも一苦労なため家庭菜園ではちょっと大変。
よってここでは、家庭菜園に適した栽培方法をいくつか紹介していきます。
袋栽培が場所いらず
長芋・自然薯は袋栽培が最もお手軽でおススメ。
この余った堆肥・肥料袋を利用した栽培方法なら、面積もとらず、収穫が楽で良いですよ。
袋の底を切り取って、耕した畝へ縦においてスコップで土を入れていってください。
土は耕し元肥・堆肥を混ぜ込んだ場所から入れましょう。
種芋の細い方(芽)を上にして垂直に差し込んで軽く土で隠れるくらいにします。
1袋2~3本を目安に差し込んでいきましょう。
注意ポイント
袋の根元にしっかり土をかけておかないと、雨風のあと容易に倒れてしまいます。
はじめにしっかりと土をかけ固定し、複数袋ならお互いが寄りかかるように置くのも良いでしょう。
波板栽培はロール式が便利
長芋・自然薯栽培の王道は波板栽培・クレバーパイプ栽培と言われています。
しかしそれは農業での話。
小規模の家庭菜園だとクレバーパイプ、波板は大きく場所をとって保管にも困ることも多いはず。
そこで波板栽培は、田んぼを囲う用の畔波シートを使うのがおススメ。
植える分の長さだけ切って、3~4枚重ねて置けばOK。
複数植える場合、種芋感覚は30cm程あけてください。
メモ
上の画像は実験的に1個分のみですが、通常はもっと長い状態で重ねて置きます。ちなみにゴボウ栽培でも同じように使用出来て便利。
新提案! 肥料袋や防草シート栽培(実験段階)
余った肥料袋や、100円ショップにある防草シートを代わりに使う方法を考案しました。
が、実際のところまだ実験段階で、まともに収穫出来ていません。
し、試行錯誤を重ねやり方を年々改良していきます。
好奇心旺盛な方はぜひお試しあれ。
基本的には波板栽培とやり方は一緒。
30㎝ほど溝を掘り、袋or防草シートを寝かせておきます。
長芋が出来る場所なので、斜めに落ちるように溝を掘っておくとよいでしょう。
20㎝ほど土をかけ戻し、10cm深の溝先に種芋を株間30cmごとに置いていきます。
向きはすべて揃えて、必ず袋or防草シートの上になるように置いてください。
上から軽く(5~8cm)土をかけ種芋を埋めたら、十分に水やりをして完了。
通常の植え付け方
ツクネイモ・イチョウイモなどはそこまで深くできないので、そのまま植え付けて構いません。
株間は30cm程あけ、7~8cmの深さに埋めてください。
上の画像は長芋になっていますが‥。
悪い事は言いません。長芋、自然薯の場合、袋栽培か、波板栽培にしましょう。
敷き藁
山芋は多湿で腐りやすい一方、植えつけ時の乾燥にも弱いです。
土が乾燥しないよう、敷き藁をたっぷりと引いて乾燥対策してやりましょう。
支柱&ネットにつるを誘引
植え付けて30cm程つるが出揃ってきたら、支柱を立ててつるをはわせます。
波板や通常栽培の場合、出来るだけ長い支柱を50㎝おきに立て、スクリーン仕立てにしてやりましょう。
袋栽培の場合、支柱を2本差し、頂点で交差させます。
そのままネットを支柱にたぐわせてつけたら、つるを誘引させます。
追肥の仕方
ツルが30cm程度に伸びたら、化成肥料40g/㎡(袋栽培は1袋20g)追肥します。
株元から畝肩までまき、軽く混ぜ合わせ(中耕)てください。
その後は8月頃まで、一ヶ月に一回同量を追肥してください。
それ以降に遅れて追肥すると、アクが強くなり、食味を悪くしてしまいます。
追肥ポイント
・土を混ぜ合わせる際、根を傷つけないように
・乾燥防止に毎回株元へ土寄せすると良い
収穫
葉が黄色く枯れ終わった晩秋11月ごろが収穫期。
長芋は寒さに強いので春ごろまで置いておくことが出来ますが、他は霜が降りる前には穫ります。
袋栽培は鎌で袋を裂き、土を落とし芋を取り出していきます。
袋よりもさらに下に伸びている場合がほとんど。
もし通常栽培をした方は長スコップやクワを使い根気よく外側から掘り起こして穫りましょう。
メモ
栽培途中に、わき芽として葉にムカゴが出来ます。
収穫してムカゴご飯などにすると美味しいのでぜひ穫りましょう。
ちなみにこのムカゴを植え付けると種芋を培養できます。
ただ種芋状態まで育てるのに1年ほどかかるため、あまりおススメしません。
プランター栽培
coming soon…