家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。
葉裏にびっしりとつき吸汁する「ハダニ」。
家庭菜園で野菜づくりをされる方へ、ハダニの被害から駆除、対策方法・予防までお伝えします。
ハダニとは〜生態と被害の特徴〜
そもそもどこからくるのか
ハダニは風で容易に飛散して他の植物体に付着し寄生します。
そこで短期間で繁殖し、また風で飛ばされ他の植物につき、増殖を繰り返しています。
高温で乾燥した状態だとより飛びやすいようです。
人体に付着して影響を与えるようなことはありません。
生態
ハダニはクモの仲間で、種類は70種類に及び、黄、緑、赤、オレンジ、茶色と体色がさまざま。
成虫で体長が0.5㎜程度と小さく、葉裏について吸汁しながら生息します。
細い糸のようなものを出して、葉や茎に巣のようなものをつくり命綱と待機場所に。
メスはそのまま葉裏に、0.01㎜大の卵を数個~10個ほど産み付けます。
良好な環境下では1個体生涯で100個以上産卵することも。
2~3日で孵化し、葉裏で吸汁と脱皮を繰り返しながら成体になります。
ハダニの卵~生体の産卵までの期間は気温で変動し、20℃下では14日、25℃下では10日、30℃では7日とも言われています。
1個体あたりの産卵数の多さを考えると、たった2週間という期間でで何十倍、高温期は何百倍にも増殖するということに。
ワンシーズンで10~13回サイクルの発生し、高温乾燥条件でより多く。
12℃以下では生育がストップし、12月ごろになると成虫のままじっと留まり、冬越しします。
被害
孵化後の幼体~生体まで葉裏について吸汁します。
食害を受けた葉は葉緑素が抜け、針でつついたように白くかすれます。
増殖スピードがすさまじく早いので、夏期は一週間も放置すれば葉裏を覆いつくし被害を拡大させます。
被害が大きくなるにつれ生長や実つきが格段に悪くなり、酷いと枯れることも。
特に高温と乾燥条件が重なった時被害が甚大になりやすいです。
発生しやすい時期
4月~11月
梅雨明け以降、大発生しやすくなりますが、真夏は天敵のカブラダニが繁殖し被害が減ることがあります。
ハダニが好んでつく野菜
トマト、ナス、キュウリ、メロン、スイカ、里芋、インゲン
駆除対策方法
ハダニはなんといっても増殖スピードが尋常じゃなく、夏場は1週間もあれば1世代交代します。
よって発生初期に対策し、こまめに葉裏を観察することが肝になるでしょう。
雑草にももちろん付着しているので、除草を徹底するのも重要です。
水攻め
水をかけてハダニを洗い流す&吹き飛ばす方法があります。
水やりするときに葉裏に向けて集中的に水をかけることで、撲滅は無理にしてもハダニの密度を減らすことが出来ます。
ハダニに効く殺虫剤(農薬)
有機JAS規格(オーガニック栽培)に使用できるアーリーセーフ(ヤシの実油成分)、ベニカマイルドスプレー(水あめ成分)、粘着くん(でんぷん)があります。
この三つは使用回数制限もなく非常に使いやすいですが、どれも昆虫を膜で包み窒息させる仕組み。
なので直接ハダニに向かってかけること、数日おきに散布することが肝になります。
もっと強力な効果を期待したい場合は、コロマイト乳剤がおススメ。こちらも天然の微生物の出す成分で有機JAS規格(オーガニック栽培)に使えます。
注意ポイント
農薬は化学系・有機JAS規格(オーガニック栽培)使用可能のもの問わず、必ず説明書を確認してください。適用作物・害虫、使用方法・回数・時期ほか、安全使用上の注意が定められています。
でんぷんスプレーの自作
片栗粉(でんぷん)を使って殺虫剤を自作する手もあります。水にとかし加熱する。
ハダニ全体を膜でつつみ、窒息死させることが出来ます。効果は絶大。
天敵利用
ハダニの天敵はミヤコカブリダニやチリカブリダニ。
夏期はカブリダニ類が増えるため、一時ハダニの発生が抑えられることもあります。
実はこの天敵生物、スパイカルEX(ミヤコカブリダニ)、スパイデックス(チリカブリダニ)という生物農薬で手に入ります。
ただし農業用の容量しかなく高価であるため、現時点で家庭菜園では手を出しにくいでしょう。
重曹・酢の効果は‥
重曹、酢ともに特定農薬に指定されていますが、ハダニ(その他害虫も)に効果があるとは記載されていません。
若干の予防効果がある可能性はありますが、ハダニの場合は少しでもついていたら一気に増殖するので意味がないでしょう。
よってハダニ予防・駆除の目的で使用することはおススメしません。