もぐみん(@agrimichi)です。
害虫のなかの代表格で、甚大な被害を出す「ヨトウムシ」。
家庭菜園で野菜づくりをされる方へ、ヨトウムシの被害から駆除、対策方法・予防までお伝えします。
ヨトウムシとは〜生態と被害の特徴〜
生態
ヨトウムシはチョウ目で蛾の仲間。
ヨトウガ、ハスモンヨトウなどの種類が畑によく出ますが、総称として「ヨトウムシ」と呼びます。
成虫は体長4~5cmで茶褐色、畑で小さな蛾を見かけたら大抵はまさにそれ。
幼虫は青虫やシャクトリムシに似ており、最終的に4~5㎝程度までになります。
生まれたてで黄緑色(黒褐色もいる)、老齢幼虫になると茶色、黒色(黄緑のままもいる)の体色に。
成虫は葉裏に数十個~数百個0.5㎜程度の丸い卵をまとめて産み付けます。
1個体で相産卵数は1000個を超えることも。
孵化直後は群生して葉肉を食べ成長し、2cmほどになると日中地中に潜り、夜に出てきて葉を食べるようになります。
最終的に土中で蛹になり、変態して成虫(蛾)になり飛び立ちます。
ワンシーズンに1~3回(初夏と初秋)発生し、寒い時期になると蛹のまま冬越しし、春先に成虫になります。
卵:約4~9日
幼虫:19~30日
蛹:約14日(冬季は春先まで)
成虫(蛾):2日程で交配し産卵した後すぐ死ぬ
被害
幼虫に葉を食害されます。
成虫(蛾)は一切食害しません。
孵化直後から葉肉を浅く食べられ、痕が薄いレース状になります。
しかし深刻な問題となるのは2cmほどに成長し土中に潜ってから。
日中は土の中にいるので存在に気付きませんが、「夜盗虫」の名高く、夜になると人知れず出てきて食害し葉に穴をあけます。
特に4cmほどになる老齢時では食害量の90%近くを占める暴食ぶり。
若苗は一夜にして食べられつくし、結球した野菜も穴をあけられ内部をスカスカに食害されることもあります。
発生しやすい時期
4月~6月 9月~11月
ヨトウムシが好んでつく野菜
キャベツ、大根、カブ、白菜、小松菜、ホウレンソウ、ナスなど
駆除・退治方法
防虫ネットで成虫の産卵を防除出来ます。
しかしながらすでに地中にいるものはどうしようもないので、種まきや植え付け時は農薬散布すると効果が高いです。
上記の事前防除と、卵、生まれたてのうちに見つけ捕殺(手ですり潰す)することがコツ。
ヨトウムシに効果のある農薬(殺虫剤)
家庭菜園におススメなのはSTゼンターリ顆粒水和剤。有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用でき、自然界にいる天然微生物(B.t.菌)の有効成分です。チョウ目全般に効くので、よくみる芋虫のアオムシ、コナガ、ハマキムシなども駆除できます(ナノクロムシはハチ目なので効かない)。
そのほか、種まきや植え付け時には家庭菜園定番の化学系農薬、家庭園芸用GFオルトラン粒剤が便利です。あらかじめ植穴に混和しておくことで食害を予防でき、かつ持続性があります。ヨトウムシだけでなく害虫全般の防除効果があります。
注意ポイント
農薬は化学系・有機JAS規格(オーガニック栽培)使用可能のもの問わず、必ず説明書を確認してください。適用作物・害虫、使用方法・回数・時期ほか、安全使用上の注意が定められています。
米ぬか
ヨトウムシは米ぬかを大量に食べると死にます。
しかし畑栽培において駆除には使いにくいのでおススメしません。
有機物(餌)の補給になることに変わりはないので、後々、かえってヨトウムシを含めた害虫を増やしてしまう可能性が高いです。
あと、まとまった米ぬかが根にあたると窒素飢餓を起こす可能性もあるので、土中には混ぜない方が無難でしょう。
コーヒー
コーヒーは忌避効果(嫌って避ける)があるとされています。
濃いめのコーヒーを冷ましてスプレーで株・土壌に散布、出がらしを土壌に混和するなどでヨトウムシをよせつけなくします。
大きくなった幼虫には忌避効果が薄いなどとも言われていますし、実際広大な畑ではほとんど有効ではないと思っていたほうが良いでしょう。
ベランダや軒下のプランター栽培規模程度で、試しに使ってみることをおススメ。
ペットボトルで対策
ペットボトルを輪切りにして、種まきor植え付けた苗を囲むように差し込むとヨトウムシの食害を防げます。
ただしナメクジは突破してしまいます。
また、ヨトウムシの成虫ヨトウガを撃退する方法もあります。
ペットボトルに侵入口をあけ、ストチュウ液など誘引する液を入れて溺死させるトラップにします。