もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、高菜の栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心して高菜を育てることが出来る内容になっています。
ほうれん草とは
ほうれん草は緑黄色野菜のなかでも栄養価が高い野菜。
βカロテンやビタミンCが豊富に含まれるので疲労回復や風邪予防に良いです。
そのほかもカリウム、鉄分、カルシウム、マグネシウムなどあらゆるミネラルがあり、貧血予防・代謝を良くすするなど健康に良い成分ばかり。
料理も火を通せば、和・洋・中問わず炒め物からお浸しまで幅広くなんにでも使える、まさに万能野菜といえるでしょう。
しかも最近では生で食べれるサラダほうれん草出てきており(シュウ酸が少ない)料理の幅はさらに広がっています。
家庭菜園では旬の冬につくることで、なかなか味わえない甘味抜群のほうれん草を堪能できるんですよ。
ほうれん草栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
ヒユ科 | 15~20℃ | 15~20℃ | 少な目(1年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 株間約4㎝・条間15㎝ | 最短1ヶ月 | 6.5~7.0 |
ほうれんそうの原産地は中央アジアで、本来涼しい環境を好む野菜。
収穫は種まきから一ヶ月(夏季)、二か月(冬季)と生育が早く初心者でも育てやすいです。
寒さにも耐える(-10℃まで)一方、暑さと湿気には弱く、25℃以上で発芽率が悪くなり生育も抑制されて病気にもなりやすくなります。そして30℃を超えると完全に生育が停滞。
なので栽培の旬は冬、特に寒さに当たる(寒締め)ことで甘く品質が良くなります。
根は想像以上に密生しながら深く伸びるため、堆肥を十分に入れ深く耕し、根を伸ばしやすくしてあげることが肝。
また、酸性土壌に極端に弱いため苦土石灰を十分施しましょう。
栽培ポイント
・PHが5.5以下にならないようしっかり酸度矯正する
・種まきは10月頃からが最適
ほうれん草の品種について
ほうれんそうは東洋種、西洋種、赤茎種の三種に加え、掛け合わせの一代交配種(F1)があります。
どれも一長一短ありますが、初心者は育てやすい一代交配種(F1)が良いでしょう。
春まき用、秋まき用と品種によって異なるため、購入するときは必ず確認してください。
サンライト(交配種・春、秋まき兼用)
次郎丸(東洋種・秋まき)
早世サラダあかり(赤茎種・春、秋まき兼用)
ほうれん草の栽培時期
ほうれん草の地域ごとの栽培スケジュールになります。
あくまでも目安なので詳細は種袋の裏を必ず確認してください。
基本的に春まき、秋まきと出来ますが、旬は秋まき冬穫りです。
土づくり(耕し方と肥料)
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を200g/㎡(1㎡おおよそ4握り)まき、しっかりと耕します。30cmほどの深さくらいは耕しておきたいところ。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
・酸性に弱いため、必ず苦土石灰を入れる
種まき・育苗
ホウレンソウの種は畑に直蒔きします。
夏蒔きの場合、高温で発芽しにくいので一昼夜水につけた後、濡れた布に包んで数日冷蔵庫に入れ芽が出てからまきましょう。
畝はなるべくフラットにし、平グワなどで圧着しておくと発芽が揃い、育ちも安定しやすいですよ。
まず畝の条間を15cmほどとり、支柱などで深さ1cmの蒔き溝をつけて下さい。
大体1cmくらいの間隔で筋蒔きしていきます。
間引く手間を省きたい方は、3~4cm間隔で種を置いてください。
均等にかぶさるよう注意しながら土をかけ、手で押さえます。
最後にシャワーで優しく水をかけて完了。
裏技
セルトレイに粒をまいて発芽させ本葉を出してから、セルトレイごと畝に埋め込みます。下穴から根が出て、普通栽培より良く育つ(確証はありませんが)ので、試してみてはいかが?
種まきポイント
・一週間おきにまき続け、連続して栽培するのもおススメ
・種まき前になるべく畝を平らにし、プレスしておこう
・発芽するまでは表土が乾かないよう水やりしよう
マルチング
マルチングをすると雑草を防ぎ、肥料もち、水もちが良くなる・地温上昇により生育がぐんと良くなります。
特にほうれん草は雨による泥はねで病気になりやすい側面があるため、マルチで防ぐことが出来ます。
株間、条間を15cmあけ点まきすると便利ですよ。
しかしほうれん草の場合、マルチなしの方が何かと作業性が良いのであまりおススメはしません。
雨季栽培で泥はねが気になる場合は、切り藁などを条間に敷くと良いでしょう。
適期外の寒い時期の種まきや、除草の手間をとにかく省きたい方はマルチングをすると便利でしょう。
切れ込みを入れて筋蒔きするのもあり。
マルチの種類は地域の気温しだいですが、中間地、暖地では秋まきは白黒マルチで熱害を防ぎましょう。
適期外の冬まきは黒マルチが良く、ポリマルチだと雑草は防げませんが、地温上昇効果が高くすこぶる生長が良くなります。
追肥のやり方
植えつけ時から、本葉4~5枚、10cm丈になったころに30g/㎡の追肥をします。
条間にまき、土に混ぜ込んで(中耕)やりましょう。
ちなみに即効性かつ、葉色を濃い色に仕上げたい方は、888の追肥の代わりに尿素を水に溶かして液肥にしてやると便利です。
水やりの仕方
水やりは発芽するまでは表土が乾かないようにやる必要があります。
しかしその後はほうれん草自体むしろ湿害に弱いため、降雨任せで構いません。
乾燥が続くようなら、追肥時にしっかりと水やりをしてやれば問題ないでしょう。
寒冷紗(不織布)による防寒対策
秋を過ぎて遅まきする場合、不織布を使用した方が上手く育ちます。
種まきした後、不織布などでカバーすると地温が安定し発芽率が上がるでしょう。
また、氷点下になるような極寒地ではよしずを立てて寒風をしのいだり、ビニールトンネルを使って防寒してあげることで品質の良いホウレンソウが育ちます。
ちぢみほうれん草とは
ほうれん草は寒さ4℃以下に10日以上当たると甘味がぐっと増し「ちぢみほうれん草」「寒締めほうれん草」として楽しめます。なので一般地は過度に保温しないのも一つの手ですよ。
間引き
種は3~4cm離してまいた場合、間引きは必要ありません。
1cm間隔でまいた場合、一般的には本葉1~2枚が出る頃に間引いて、3~4cmにします。
が、それだと間引き菜が小さすぎて正直もったいないです。
密集や1cm間隔でまいた場合、草丈10~15cmくらいまでは間引かずともぐんぐん生長します(徒長ぎみにはなる、それ以上生長させると縮れなど生育不良になる)
上記の写真は正味間引かなすぎですが、これでも間引くことでまた生長してくれます。
草丈が10~15cmになって、随時込み合ったところを間引いて食べていく感覚が小規模家庭菜園ではおススメ。
なるべく太く大きな苗から間引き収穫していくと、他の小さい苗が大きくなり良いです。
ちなみに寒さで縮れて葉が横に広がってくるので、寒冷地の最終的な株間は10~15cm程とるようにすると良いでしょう。
収穫時期
草丈が20cm以上になったら収穫しましょう。
手順は間引きと同じように、込み合って大きくなった箇所から根元を掴んで引き抜き収穫していきます。
引き抜いた後は、根をハサミで切ってしまいましょう。
大きい株を抜くことで、他の小さかった株もぐんと大きくなります。
失敗を防ぐ生育診断
大きくならない・黄色くなり枯れる
さまざまな要因が考えられるので一概には言えませんが、葉が一枚や、わずかに黄化し育ちが悪い場合、土の酸性化が問題なことがあります。
苦土石灰をパラパラと条間にやって水をしっかりかけ一週間ほど様子をみてください。
そのほか、全体が黄色くなり萎れ枯れるようなら、糸状菌による病気にかかっている可能性が高いです。
とう立ちする
夏の栽培ではほうれん草が早めにとう立ちしてしまうことがあります。
これは日が長くなることで起きますが、ちゃんと春蒔き用の品種を選ぶことである程度回避できます。
夜の外灯が近くにあって夜も明るいため、とう立ちする場合があります。