家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、カブの栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心してカブを育てることが出来る内容になっています。
カブとは
カブはアブラナ科の一種で、丸まるとしたフォルムが特徴の根茎菜。
「日本書記」にも登場するほど古来からあるなじみ深い野菜です。
根茎部分はアブラナ科特有の癖さほどなく、甘味が強くジューシーな食味。
そして葉部分も食べれ、同様にアク、癖が少なくほのかな甘味を味わえます。
栄養分はカリウム、ビタミンC、食物繊維にくわえ消化酵素も含まれているため、胃もたれなどの解消にもうってつけ。
葉の部分は緑黄色野菜とあってより栄養価が高く、βカロテンやカルシウムなども豊富に含まれています。
ちなみにカブの旬は冬で寒くなると甘味が格段に上がり、アブラナ科野菜の中でも屈指の美味しさを誇るほど。
家庭菜園でも簡単につくれるので、ぜひ新鮮で旬の瑞々しい甘味を堪能してほしいところ。
カブ栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
アブラナ科 | 20~25℃ | 15~25℃ | 少な目(1年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 小10・中20・大30㎝ | 小40日・中60日・大90日程 | 5.0~6.0 |
カブの原産地は地中海沿岸で、涼しい気候を好む野菜。
小・中・大カブとあり、小カブなら最短1か月程で収穫できるので初心者にもおススメ。
寒さにはめっぽう強く、氷点下(-3℃)にも耐えることが出来ます。
一方暑さに弱く、25℃以上では生育が衰え弱ってしまいます。
なので夏を避けた秋まき栽培が旬で、冬〜春まきも出来ます。
土壌はそれほど選びませんが、乾燥と過湿が苦手で、特に乾湿差が酷いと裂果したり生育が衰えます。
しっかりと堆肥を施して高畝にしてやるのが肝になるでしょう。
ポイント
・品質重視なら、間引きは適期にしっかり
・極端な乾湿差が起きないよう土壌の水分状態に注意しよう
カブの品種について
カブは地方で品種の分化がみられるため、80種類以上にも及びます。
主に直径約5㎝の小カブ、約10cmの中カブ、15cm以上の大カブ品種に分かれています。
色は白だけでなく紫や赤色と多様で、形も丸以外に大根のように長細い品種も。
地方それぞれに売っている種を購入するのが一番ですが、ここでは人気や注目品種を紹介しておきます。
はくれい
生食・サラダに最適の小かぶ。中早生で冬〜春まきと秋まきが適しています。抜群の甘味からぴーちカブと言われたりもしています。
聖護院かぶ
日本では最大級の大かぶ品種。直径は15~20cm以上にもなり、ち密で甘味があることから煮物や千枚漬けによく利用されます。
もものすけ(赤カブ)
肉質が柔らかくジューシーな甘味で、生食・サラダに最適の中カブ。秋まきが適しています。
あやめ雪かぶ
白に紫が混じって綺麗で、生食や酢漬けに適した小カブ。
秋まきにくわえ冬・春まきができます。
カブの栽培時期
カブの栽培スケジュールになります。
あくまでも一般的な中カブ栽培時期なので、詳細は種袋の裏を確認するようにしてください。
春・秋まきが基本で、旬は寒さで甘味が増す秋まきになります。
土づくり(耕し方と肥料について)
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を100g/㎡(1㎡おおよそ二握り)まき、しっかりと耕します。
このとき前作の残り、石などの固まりは取り除いておきましょう。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・苦土石灰はやりすぎない(ホウ素欠乏が出やすいため)
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
種まきと育苗
カブは基本的に移植栽培できないため、種を直まきします。
最終的に小かぶは10cm、中カブは20cm、大カブは30cmを株間をあける必要があります。
もちろん大カブでも最初は条間を狭くし、間引き菜を楽しみながら間隔をあけるのもあり。
それぞれに適した条間(小10・中20・大30cm)をあけて筋まきし、支柱などで1cm深のまき溝をつけていきましょう。
溝に種を約1~2cmおきにまいていきます。
画像はキッチリ1cm間隔ですが、どうせ間引くのでアバウトでも構いません。
種が隠れる程度、5mmほど土をかけて強めに押さえましょう。
その後、たっぷり水やりをして完了。
ポイント
・発芽するまで表土が乾燥しないよう水やりしよう
水やり
カブは乾燥で肥大が遅れるので、こまごまと水やりすることで生長が早くなります。
乾燥からの急激な大雨、その逆も生育不良や裂果をおこす原因になります。
特に生育前半から肥大が落ち着くまでは、乾燥に注意しながら水やりをすると品質良いカブになりやすいです。
防虫ネットかけ
生育初期は葉を害虫に食べられやすいため、種まき直後から防虫ネットをトンネルかけで使用するのが良いでしょう。
急な雨に打たれるのを軽減してくれるため、初期生育が揃いやすくなる効果もあります。
春まきでは、防寒をかねて不織布や寒冷紗トンネルをするのもとう立ちを防げて良いですよ。
間引きと追肥
間引きは3回に分けて最終的な株間(大30、中20、小10cm)にしていきます。
カブは間引きが遅れると形が崩れたり、裂果することがあります。
ちなみに間引いた葉かぶは綺麗に洗って葉、根ごと食べれます。
炒め物もヨシ、お浸しにしても癖がなく美味しいですよ。
間引きと追肥のタイミング
発芽して本葉が1~2枚になったら込み合っているところを間引きます。
その後本葉が3~4枚になったら再度葉が当たらない程度に間引きます。
最後は本葉が5~6枚になったら本来の株間まで間引いて完了です。
間引きの度に均等に土の表面と混ぜ合わせるよう(中耕)にし、株元に土寄せしましょう。
点まきも筋まきと同じ要領で間引いていきます。
追肥は大カブは2回目と3回目、中カブは3回目に化成肥料888を30g/㎡追肥してください。
小カブは元肥のみで、追肥はいりません。
聖護院カブは特段大きくなるので、追肥は3回目後、約三週間後にもう一回やってください。
メモ
アバウトに間引きながらの場合は種蒔きから、約3週間おきのタイミングで追肥しましょう。
大カブは三回目、最後の間引きから約3週間を目安に同量を追肥してください。
1回目(本葉1,2枚) | 2回目(本葉3,4枚) | 3回目(本葉5,6枚) | 追肥のタイミング | |
小かぶ | 約2~3cm | 約5~6㎝ | 約10cm | なし |
中かぶ | 約2~3㎝ | 約5~6cm | 約15cm | 3回目 |
大かぶ | 約5cm | 約15cm | 約30cm | 2・3回目・三週間後 |
ズボラな間引き方
上記の間隔はあくまで基本の目安。
家庭菜園ではなかなかこのとおりに間引く間がないのも実際だと思います。
上の写真は極端な例ですが、間引きがかなり遅れても一応は育ちますし、この後間引き追肥していていけば、またしっかり肥大し収穫出来ます(上写真程遅れると、徒長する、込み合って病害虫リスクが上がる、形が悪い、われやすいなど品質低下は出まくりますが‥)
よって1週間に一回程度しか畑に行けない方でも、その都度込み合ったところを間引く感覚でも収穫にありつける(※品質は下がる可能性あり)ので、さほど神経質にならなくても問題ありません。
頻繁にみれないけど間引きはして、品質も完璧にしたい! という方は本葉2~3枚時の一回のみの間引きで最終株間まで間隔をあけるやり方もあります。
収穫
かぶはそれぞれ小かぶが5㎝、中かぶ10cm、大かぶ15㎝(聖護院は20〜30cm)程になったら収穫期です。
小カブは1ヶ月弱、中かぶは2ヶ月、大カブは3ヶ月経てば随時収穫できます。
小さい段階で獲っても美味しく食べれるので、用途に応じて収穫していきましょう。
逆に穫り遅れるとス入りしやすいので注意します。
失敗を防ぐ生育診断
実の表面が割れる
生育後半で乾燥が続いたのち急激に大雨が降る、あるいはその逆で割れます。
急激な水分変化で生長バランスが崩れることで置きますが、露地では天候次第で仕方ない部分があります。
対策としては、こまめに水やりすること、水分バランスが変わりやすい暖かい時期での早まきを避けることです。
トウ立ちして花が咲いた
カブは低温(2〜13℃)を感じ花芽を形成し、その後暖かくなると(13〜18℃)トウ立ちします。
ある程度生育し大きくなった苗の方が感じやすく、品種では大カブほどトウ立ちしやすいです。
秋まきでは穫り遅れしない限り、特に気にすることはないでしょう。
春まきの場合はまさに低温を感じた後、暖かくなっていくのでとう立ちしやすいです。
ただし、夜気温が低くても日中が高温になることで低温感知が打ち消され、トウ立ちしない性質も持っています。(脱春化)
春栽培ではこの性質を利用しトンネル栽培し、日中を高温にさせることでトウ立ちを防げます。
すが入る(空洞ができる)
穫り遅れによる老化や、生育後半に高温で乾燥が続いたことが原因でなります。
対策としては特に春まきでは適期を守って収穫する、土の表面が乾いたら水やりし乾燥を防ぐことです。
曲がる(形が悪い)
間引きが遅れると根が株同士あたり、避けるように変形することがあります。
大カブは生育後半から一気に肥大します。その時に水分・肥料状態に急激な変化があると形が悪くなり、割れる原因にもなります。
なので追肥のタイミングは遅れないよう、本葉5~6枚の時に済ませておきましょう。あとはこまごまと水やりして急激な水分変化をさせないことです。
2又になる
又大根ができる場合は、土中に前作の残骸や石が入ってるせいです。
耕すとき注意して取り除いて回避しましょう。
そのほかの原因として、水のやりすぎによる過湿も考えられます。