家庭菜園初心者向けにきゅうりの栽培・育て方の基本をまとめました。
栽培のコツや病害虫対策、コンパニオンプランツ(混植)も網羅していますので、安心して美味しいきゅうり栽培できる内容になっています。
きゅうりとは
私たちが普段食べているきゅうりは、肥大し生長する途中の未熟果。
かつて江戸時代ごろには、黄色く熟した大きな実を食べられており、黄瓜(きうり)と呼ばれていたそうです。
青い状態のきゅうりは圧倒的に食味が良く、生のシャキッとした歯ざわりとみずみずしさが最大の魅力でしょう。
サラダにして食べるもよし、酢の物や漬物にしても相性抜群。
きゅうりの95%は水分で、栄養はほとんどないともいわれますが、実はそこまで低いわけでもないです。
カリウムが豊富なため高血圧、生活習慣病を防ぎ、利尿作用もあるのでむくみを防止してくれます。
さらにBカロテンも含まれているので免疫力を高め老化やがん予防にも。
最近ではシトルリンなど脂肪を燃焼する栄養素も入ってることが注目されており、もはや美味しさだけにとどまりません。
特に家庭菜園で育てたものは、ハウス栽培にくらべビタミンCが二倍近くあるので美容にも嬉しいとてんこもり。
きゅうり栽培の特徴
種類 | 科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 | PH(土壌酸度) |
きゅうり | ウリ科 | 25~30℃ | 23~28℃ | あり(3年程あける) | 5.5~6.5(弱酸性) |
きゅうりの原産地はインドで、十分な日光と高い温度を好む野菜。
日本の春から夏の気候に栽培しやすく、時期をずらせば秋まで収穫できます。
収穫は種まきから2か月半ほどで果菜類の中でも生育が早いほうですが、そのぶん肥料が多く必要。
また、根は土の深さ20cm程度の浅いところまでしか伸びないため、乾燥、多湿ともに弱いです。
バーク堆肥や腐葉土などの堆肥を入れて、水はけと水もちの良い土にしてやりましょう。
栽培ポイント
・こまめに追肥&水やり
・マルチ&敷き藁で乾燥対策
・高畝で湿害防止
きゅうりのおすすめ品種一覧
きゅうりは品種改良が進み、果実の形やいぼの色、着花習性が異なる種類があります。
その中でも育てやすく、初心者におすすめな品種をあげておきます。
夏すずみ
きゅうり栽培といえばコレというくらい人気で、ホームセンターにも必ずといって良いほど置いてあります。耐病性も高く、味よしで一押し品種。
シャキット(四葉系)
表皮のイボイボ感が強く、昔ながらのきゅうり感がありますが、かなり丈夫でぐんぐん育ちます。食味は歯切れがすこぶる良く、まさに名前どおりで食味も良好。スーパーでは見かけないのでぜひ作ってみたい品種。
フリーダム
ヨーロッパ原産のものと掛け合わされた品種で丈夫で育ちが良いです。渋みや青臭さが少なく、きゅうりが苦手な人でも食べやすいです。また表皮のいぼがなく調理もより簡単に出来るのも魅力でしょう。
きゅうりの栽培時期
きゅうりの地域ごとの栽培スケジュールになります。
きゅうりは春、夏、秋どりが出来ます。
春植えは4月5~10日に種植えし15~20日に移植。定植は5月上旬、収穫は6月中旬~8月中旬。
夏植えは6月下旬に種上し7月中旬までに定植、収穫は8月~9月。
秋植えは7月初旬に種植え、収穫は9月~10月。収量は若干落ちます。
種まきと育苗【時期と方法】
培養土を入れた3号ポリ鉢へ事前に水をかけた後、種を三粒まきます。
深さ1cmほどくぼみをつくり、一粒ずつ均等においてください。
そして土を5mmほど被せて手で押さえつけ、再度水を十分にかけてやります。
ビニール温室や不繊布をかけるなど、なるべく暖かい場所(20℃~25℃適温)で発芽率を上げましょう。
本葉が一枚出るころ、生育の悪い二本を間引いて一本仕立てに。
この頃から保温をやめ、外部気温に慣れさせていきましょう。
そのまま本葉4枚ほどの苗に育てたら、植えつけ時期です。
育苗ポイント
・温室・ビニール保温は日中換気し高温を防ぐ
・表土が乾いたら午前中に水やり(夕方は徒長するので×)
注意ポイント
・ナメクジやウリハ虫に食害されやすいので、暖かい時期は防虫ネットをかけよう
土づくり【耕し方と元肥について】
まず苦土石灰を100g/㎡まき、しっかりと耕します。
高さ20cm、幅90cmの畝をつくり、堆肥・元肥を全面にばらまきクワで混ぜこんでください。
畝1㎡あたり施肥量
バーク堆肥(or腐葉土)を5kg(バケツ〇杯)
化成肥料888150g(3握り)
ようりん50g(1握り)
土づくりポイント
・植え付けの一週間前に終わらせておく
・きゅうりの根は浅いため20cm深まで堆肥・元肥をうないこむ
マルチングや敷き藁で水もちよく
きゅうりは根が浅く、乾燥と多湿に弱い野菜です。土中の水分状態を適度に保つために、敷き藁マルチをしましょう。
写真のように地面がみえるくらいの適度な量にすることで、土壌中の乾燥防止、ひいては雨による泥はねを防止し病気の予防にもなります。
早まき、遅まきする場合は地温を保つため黒ビニールマルチするのも良いでしょう。
注意ポイント
敷き藁は置きすぎると多湿になるので適度に。
支柱の立て方
少量(2本)植えるときは植えるときはスクリーン式、4本以上植えるときは合掌式の立て方をします。
【スクリーン式】
畝の片側の端に、50cm間隔で支柱をまっすぐ刺します。上部に支柱を横にわたし、交差する場所をヒモで結んでください。続いて下部横に支柱をわたしヒモで結びます。最後に真ん中も同様に支柱をわたし固定し完了。
【合掌式】
それぞれ50cm間隔で畝の端から斜めに支柱を差し込み交差させます。交差させる位置はなるべく高くします。交差させた部分に上から支柱を一本のせてヒモで結んでください。そこから平行に真ん中で支柱を結び、完了。
1本仕立て(つるおろし)
節なり品種限定ですが、支柱を1本立てて栽培するのも最近は人気。
脇芽はすぐにとり、主枝付近になる実を収穫していく方法です。
どんどん上に伸びるので、下葉は全部とって随時つるを縄のようにおろして収穫を続けます。
誘引の仕方とネット張り
きゅうりネットを張ることで、誘引の手間をはぶきます。
各支柱にネットをわたして、ヒモで固定しましょう。
しっかりとツルがからみつくまでは、40cm間隔で株元の茎と支柱をヒモでゆったり8の字くくりし、誘引しましょう。
苗の植え付け方
苗は本葉4枚ほど、子葉を残し株の節間がが詰まって葉色の濃いものを選びます。
市民農園など前作がわからない場所で育てる場合は、病害虫被害の少ない接ぎ木苗で育てるのがおススメ。
植え付け時期は
株間、条間ともに50㎝あけ、支柱の横にポット大の植穴を掘り、あふれるくらい水を注ぎこみます。
十分に水をかけた苗をポットから抜いて植穴に入れ、株元を持ちながら土を戻して軽く押さえます。
茎が折れないよう、支柱にゆとりをもってヒモで誘引してください。
最後にたっぷりと水やりをして完了。
メモ
接木苗の場合、接木部分が土の中に入らないように浅く植え付けます。接ぎ木部分は折れやすいので注意してください。
水やりは頻繁に
きゅうりは90%以上が水で出来ており、大きな株では一日1.5ℓもの水を吸収します。
根も浅くしか張らず、水不足になりやすいので梅雨明け以降、特に真夏は毎日水やりするのが好ましいでしょう。
真夏以外は表土が乾いたら水やりするようにします。
また、きゅうりの葉や実の状態をみて、しおれたり形の悪い実があればたっぷりと潅水します。
人口授粉はいらない
きゅうりは雌花と雄花に分かれています。
しかしわざわざ受粉させなくてよいです。
きゅうりは単為結果といって、受粉せずとも実が大きくなる性質を持っているから。
もし自家採種したいときのみ、人口受粉させたらよいでしょう。
摘心と整枝の仕方
株の生育を促進するために、株元から5~6節の間に出る子づる(わき芽)、雌花は早めにつみとります。
その上からの小づる(わき芽)は伸ばし、本葉2枚を残して摘心します。
一つの小づる(わき芽)から2果ほどならすことを基本としましょう。
親枝が支柱の先まで育ったら、摘心します。
整枝、摘心をしっかりとすることで長く高品質のきゅうりを収穫でき、風通しがよくなり病気の予防にもなります。
摘葉・下葉かき
適宜、老化して黄色になった葉や、うどんこ病など病害虫に犯された葉をとっていきましょう。
風通し、日当たりがよくなることで病気の拡大予防になります。
ただし病気葉が多すぎるからと言って下葉をとりすぎると一気に株が弱ることも。
毎日観察をし、少しでも病気の葉がみられたら、拡大しないうちに摘み取ってしまいましょう。
注意ポイント
雨の日は病原菌が繁殖しやすいので晴天時に摘み取ろう
追肥の仕方
植え付けて一番果が収穫出来たころから、2週間おきを目安に追肥してください。
株元にまくと根が肥やけをおこし生育不良になるので根がこれから伸びる辺りにまきましょう。
最初は例外的に株元の先へ化成肥料888ひとつまみ(5gほど)
次は株間に30g/㎡、三回目は同量を畝肩へと徐々に株から離して追肥します。
4回目以降は同量を畔にパラパラと蒔くだけで十分でしょう。
メモ
雌花が通常より小さい状態で開花、つる先に雌花がつくようになると明らかに草勢が低下しているので、追肥の合図になります。
収穫時期
開花から一週間、果実の長さが18cm~20cmになった頃が収穫の目安です。
ハサミで切りとって収穫しましょう。
一番果・二番果は10cm以下で若獲りすると、生長が優先され後々たくさん穫れやすいです。
ちなみに二週間たつと大きくなりすぎますが、皮と種をとれば食べれます。