もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、水菜の栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心して水菜を育てれる内容になっています。
水菜とは
水菜はアブラナ科の葉菜類で、葉先にギザギザの切れ込みあるフォルムが特徴。
原産は日本(京都)で江戸時代に全国へ広まり、関東ではキョウナとも呼ばれます。
食味はシャキシャキと歯切れの良く、癖のない味で、料理しても煮崩れしません。
昔から鍋物、煮物、浅漬けなどに利用されてきましたが、アクがないことを活かして現在ではサラダやお浸し料理も人気で、海外でも注目の野菜。
さらに緑黄色野菜というだけあって栄養価も高く、ビタミンCが豊富、抗酸化作用のあるβ-カロテンも豊富に含まれているため、アンチエイジングやがん予防になります。
周年売られてますが、旬は秋~冬。
グンと風味やシャキシャキ感が強くなります。
家庭菜園でも容易に栽培できるため、ぜひ穫れたて新鮮な旬の味覚を味わってほしいところ。
水菜栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
アブラナ科 | 20~30℃ | 15~25℃ | 少なめ(1年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 約5㎝(大株約30㎝) | 最短1か月程 | 6.0~6.5 |
水菜の原産地は日本で、冷涼な気候を好む野菜。
比較的丈夫で栽培は簡単、夏場は1か月、冬は2か月半で獲れるので初心者にもおススメ。
ただ高温には弱く真夏は徒長しぎみになり、逆に10℃以下の低温後、温度が上がると花芽が付きやすくなる性質があります。
なので秋まきの冬収穫が旬ですが、近年は品種改良も相まって、周年で小株を収穫するスタイルも可能。
名前のとおり水を多く必要とするので、堆肥をしっかりと入れ水持ち・水はけを良くしてやりましょう。
一方、過湿で根が腐りやすい側面もあるので、高畝で対策することも肝。
栽培ポイント
・初心者は秋まきがGood
・高畝と堆肥施用で水持ち&水はけ良く
水菜の品種について
水菜には30g前後で収穫する小株用と、2~3㎏になるまで育てる大株用品種があります。
最近ではサラダにも使える小株用が人気で、暑さに強かったり、晩抽性(トウ立ちが遅い)品種が出ています。
また水菜の変種でミブナ(壬生菜)という葉に刻みのない品種も。
京しぐれ
小株用品種の早生種。寒さに強く低温でも育ちやすいです。秋・春まきが可能で、サラダから煮物まで幅広く利用できます。
京かなで
主に小株収穫に適した早生種。高温に強く夏季でも品質良く育ちます。春~秋まきが可能で、株のまとまりが良いため収穫しやすく、トウ立ちも遅いです。
白茎千筋京水菜
大株用品種の晩生種。春~秋まきが可能でトウ立ちが遅いです。さらに冬の寒さでもしっかり育ち、主に煮物や浅漬けに適しています。
紅法師
茎が鮮やかな紅色になる早生種。高温期は発色が悪くなるため栽培を避けます。ポリフェノールの一種のアントシアニンを含み、癖がなくサラダでも食べやすいです。
ミブナ(壬生菜)
葉の切れ込みがない水菜の変種。水菜にはない、ピリッとした辛さを持っています。
水菜の栽培時期
水菜の地域ごとの栽培スケジュールになります。
あくまでも一般的な目安なので必ず種袋裏の栽培時期を確認するようにしてください。
水菜栽培の旬は秋まき冬収穫で、一旦まいてしまえば春ごろまで大株にしながら長く収穫出来ます。
もちろん春まき、夏まきも出来、暖かい時期は病気にならない小株のうちに収穫していきます。
土づくり【耕し方と肥料のやり方】
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ三握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
・高畝にし水はけをよくしよう
・酸性に弱いので苦土石灰散布を忘れずに
種まき・育苗
水菜は移植もできますが、直まきで育てるのが間引き菜も食べれておススメ。
小株穫りでは一般的には、最終株間5~7㎝、大株は30~35cm必要になってきます。
家庭菜園では随時間引き、小株どりしながら、余ったものを大株にしてとっていくやり方が良いでしょう。
間引き菜を最大限楽しみたい方は筋蒔き、間引く手間を省きたい方は点蒔きにします。
筋まき
条間15cmをあけて、種を筋まきしていきます。
支柱などを使い、約1cmの蒔き溝をつくってください。
種を約1cm間隔で筋蒔きしていき、5mmほど土をかけしっかり手で押さえましょう。
最後にたっぷりと水やりして完了。
点まき
条間15cmで、初めから5㎝間隔あけ、3~4粒点まきしましょう。
10円玉大で1cm深の植穴をつくり、適当にまいて5mm程覆土して下さい。
マルチング
マルチングすると雑草が防止でき、さらに肥料もち、水持ちup、地温上昇などで生長も良くなります。
しかし小規模畝の場合、マルチなしの方が何かと作業性が良いです。
マルチングする場合は株間、条間15cm間隔で栽培することをおススメします。
点蒔きしても良いですし、ポット育苗したものを植え付けていってもOK。
縦に切り目を入れて、筋蒔きをするのもありでしょう。
水やりの頻度
水菜は水分を多く必要とする野菜です。
特に生育初期(草丈15cmほど)までは畝表面が乾かないよう、こまめに水やりすることで筋なく瑞々しい株になります。
以降は、乾燥が続き表土が乾くようなら水やりをする程度で構いません。
あまりやりすぎると逆に根腐れを起こすこともあります。
間引き
一般的な間引き方は、
本葉が1~2枚出る頃に2~3cm間隔にし、本葉4~5枚になる頃に5cm間隔まで間引きます。
そこから大株にしたい場合は本葉が10枚程になった頃に15cm間隔に間引き、その後込み合ったら収穫し30cm間隔まで持っていきます。
点蒔きも本葉1~2枚で込み合って弱い苗を1~2本間引き、本葉4~5枚で1本仕立てにします。
ズボラな間引き方
が、プロ級の品質にこだわらなければ、ぶっちゃけここまでシビアに間引く必要はありません。
特に水菜は株元が細いため、1cm間隔まきでまったく間引かずとも収穫に漕ぎつけます。
よって1~2週間に一回しか確認できない方でも、一切間引かないor 込み合ったところを随時間引き収穫というスタンスで構いません。
追肥と中耕
小株穫りの場合、基本的には追肥なしで育ちます。
草丈が10cm程度か、大体種まきから一ヶ月後の間引き収穫のタイミングで、葉色が薄いようなら追肥する感覚で構いません。
化成肥料888を30g/㎡条間にまいて、軽く混ぜ合わせて(中耕)ください。
大株にする場合は、大体一か月おきに生長を観て追肥していきましょう。
マルチをしている場合は肥料持ちが良いので、追肥は1回見送るなりして少な目で構いません。
防虫ネット・寒冷紗の利用
水菜は害虫がつきやすい野菜です。
暖かくなる春~夏まきの場合は、生育初期から防虫ネットをかけ、害虫がつかないようにしましょう。
あと最近は気候にムラがあるので、秋まきの場合も生育初期に害虫がつく可能性が高いです。
地域のベテランが栽培時期にどう対策しているか確認するのが一番手っ取り早いでしょう。
防寒対策に関しては、霜に強いため寒冷紗や不織布は必須ではありません。
収穫
株間が込み合ってくる草丈20~30cmが収穫期。
夏は1ヶ月程、冬は2カ月半ほどで穫れます。
茎の根元を持って根ごと引き抜いて収穫してください。
といっても、水菜は葉物、ましてや家庭菜園なので小さい段階で収穫しても構いません。
間引き段階から必要な時だけ収穫していくスタイルが効率良いでしょう。
初期に取りすぎた場合、残りを大株に育てあげるというやり方もおススメ。
失敗を防ぐ生育診断
葉が苦い場合は
水菜の葉が苦くなるのは、窒素肥料のやりすぎが原因です。
葉色が濃いくなっていたら、硝酸態窒素が葉にたまり苦くなっている合図。
特に追肥直後は葉色が濃いくなりがちなので、すぐに収穫するのは避けましょう。
花が咲いてしまう
水菜は低温を感じた後に温度が上がると、花芽が付きやすくなります。
特に春まきでは、晩抽性(とう立ちが遅い)品種を選ぶようにしましょう。
一般的に早生品種は10℃以下を40日以上、晩生品種は5℃以下を50日以上で抽苔します。
葉茎がかたくなる
葉が硬くなる原因としては、水分と肥料不足が考えられます。
植物は水、肥料が足らないと育ちが遅くなり、葉茎が硬くなります。
水菜は特に水分を必要とし、生育初期の干ばつで茎がかたくなりがち。
また、花芽をつけた場合も茎葉がかたくなってしまいます。