もぐみん(@agrimichi)です。
本記事はベビーリーフを6種類にわたる土で栽培比較した実験記事になります。
さてみなさん、突然ですが家庭菜園といえば、やっぱり土づくりですよね。
ホームセンターに行けば、さまざまな土が置いてあります。
赤玉土、鹿沼土、真砂土、黒土‥
ぶっちゃけたくさんありすぎて、どの土が良いか迷いませんか?
僕もあれこれ迷っちゃうんですが、ズボラな性格もあって「とにかく野菜が良く育つ万能土ははどれだ!」と探しちゃいます。
でもそもそも野菜ごとに適した土があるため、一概には「この土がどの野菜栽培にも最適!」とは言えないもの。
そして土ごとの一長一短の特性を活かし、用途に応じ混合して使うのが通常です。
そもそも市販の培養土っていうほど万能な土なの!?
なんか偉そーな人がてきとーにノリで
「野菜全般にゃ~この土と土を合わせりゃー育ちが良い」
とか言った配合を鵜呑みにしたままなのかもしれませんよ?
‥‥‥‥。ごめんなさい冗談です。メーカーは日々僕たち家庭菜園家がより使いやすいよう培養土を改良しています。軽く持ち運び、燃えるゴミとして簡単に捨てれるよう、有機質主体の混合で極限まで性能を高めているのが見て取れます。そもそもプランター栽培では通気性を保つため有機質主体の方がかわきや~以下省略
そして研究機関は、僕が日々やる実験とは比べものにないくらいの精度で環境条件を揃え、英知を振り絞って夜通し観察や実験を繰り返して~以下省略。
はい。とにかく培養土はメーカーによってさまざまな配合でありながらも、プランターでの野菜や花の栽培全般に適した土であることに間違いはないでしょう。
しかし。
野菜を葉物に限定するなら、どうでしょう?
家庭菜園では、プランター栽培で葉物野菜を栽培する人も多いかと思われます。
市販の培養土でももちろん育つ。ただ単体土を混合させオリジナルな土をつくるのも面白いですよね。
そしてもし、葉物に適した土種がおおまかにでもわかったら、プランター栽培での楽しみがより増えそうだな~、なんて思ったりしませんか?
でしょ? でも失敗し余った土処理が面倒などの理由で、そう簡単にたくさん試せなくて躊躇しちゃうと思うんです。
そこで皆さんの代わりといってはなんですが、今回は葉物野菜が良く育つ土を追及していっちゃいます。
手始めに
色んな土で葉物野菜ベビーリーフの栽培比較実験するぞおぉぉ!
うぇ~い!
そもそもベビーリーフとは?
今回栽培比較に使う野菜は、ベビーリーフです。
ベビーリーフとは、そもそも1種類の野菜ではなく10cm以下の若い葉菜の総称。
よって種として売られているベビーリーフも、約10種類(水菜、レタス、小松菜etc‥)の葉物野菜の種が混合されたものです。
葉物野菜全般に合う土を調べるのに、ベビーリーフを検体にするとわかりやすいかな~と思いまして。(比較がむちゃアバウトにはなりますが‥)
ベビーリーフ比較実験の方法
事前にお伝えしておきます。
この実験はかなりアバウトです。
水やり量や日当たりは出来るだけ均等になるようには留意してます。
ただ本来の実験は厳密に環境条件を揃え、検体も大量に用意して複数回試行する中で、やっと傾向がつかめるような世界。
よって本実験結果は、一参考程度にとどめておいてくださいませ。
6種類の土・堆肥で栽培比較
実験で使う土は、バーク堆肥、牛糞、花と野菜の土、腐葉土、赤玉土、廃菌床。
無肥料・無追肥で栽培します。(花と野菜の土は元肥入り)
本来、野菜栽培では牛糞や廃菌床といった堆肥は単体で使うことはありません。
花と野菜の土を除き、他の土も大抵は混合させて使うのが通常。
今回はあくまでも実験として、単体使用して何か発見があれば良いな~という狙いでやっています。
種まき、水やりの仕方など。
9㎝ポットを用意し、水槽内で育てます。
開始時期は12月付近の冬から。
一種類の土をそれぞれ3ポットに入れ、1ポット10粒、均等にまきました。
あ、ちなみに水やりは適時均等量をやるとします。
三日置きとかにしたら、やりすぎてべちゃべちゃになって床に溜まりそうなんで、、、。
ベビーリーフ生育の様子
種まき後は、各ベビーリーフの生長を観察していきます。
栽培一週間後
種まきから一週間後‥
うぇ~い。 さっそく発芽しました!
観ての通り、どれも同じように発芽してるようにみえなくもないですが、よーくみると、、、。牛糞だけ発芽してません。
栽培三週間後
種まきから三週間後。
おぉ。大分また生長しましたなぁ~。ここでさっそく差がついてきましたな。
牛糞がうんともすんとも言いません。
そして赤玉土の芽がなんか縮れてます。かつ、左下の土は乾いちゃってますな。
廃菌床(真ん中と左上)もなんだか芳しくなく、黄色になってる。右下のは大丈夫なんだけどなぁ。
さらに様子をみていきましょう。
栽培六週間後
種まきから6週間後。
牛糞、おまえはもう〇んでいる。
そして赤玉土も縮れたまんま。
廃菌床は右下のだけそこそこ生育しています。
御覧のとおり、水槽内で同じ土種なのに、また乾いている土とそうじゃないところが‥
環境条件揃ってないですね‥ゆるしてください。
後は、腐葉土がバーク堆肥と花と野菜の土に比べ育ちが良いです。
栽培八週間後(約二か月)
めっちゃ大きくなったぁぁぁ!
なんでかというと、ちょうど三月前になり急激に暖かくなったからですねはい。
ちょうど二ヶ月ということで、これにて栽培期間は終了とします。
さて、結果を詳しくみていきましょう。
ベビーリーフ栽培比較の結果
待ちに待った結果発表~!! 長らくお待たせしました!
え? 目次からジャンプして結果だけ観に来たって?
栽培二ヶ月後の外観
観ての通り、腐葉土が圧倒的勝利!(そもそも勝負ではない)
こんなに差が出るなんて思わなかった‥。
バーク堆肥と花と野菜の土はどっこいどっこいですね。
赤玉土と廃菌床はムラがある感じ。
牛糞は あ、おまえいたの? って感じでこの二ヶ月過ぎましたな。
体長について
さて、どうせならしっかりと今回の結果を示したいので‥。
苗の長さを全部測って平均を出し、棒グラフにしました。
あ 牛糞さんは芽が出てないので省いてます。
観ての通り、やっぱり腐葉土がダントツですね。
平均6cmですよ。続いてバーク堆肥、花と野菜の土と続いてますね。
根の状態は?
せっかくなので根の状態も軽く確認してみました。
腐葉土とバーク堆肥の根の状態が、似ているようで違って興味深いです。
明らかに根の量が多いですね腐葉土。やっぱ苗が大きいと根の良も比例するんですねぇ。
水で土を落とし、根だけ観ようかと思ったんですが、腐葉土は絡みついて取れませんでした。
バーク堆肥はところどころ絡みついてるぐらいです。
ベビーリーフ栽培比較の考察
今回の結果から考えられることを、土ごとに語っていきます。
腐葉土
腐葉土の生長が良かった大きな要因ってなんなんでしょうね。
単純に養分の窒素量が多いだけじゃね? と最初に思っちゃうのですが、どうやらそうでもないのです。
というのも今回使用のもの、成分記載値は
にもかかわらず腐葉土の方が生長が良い。いったいどういうことなのか‥。
おそらく
・有機態窒素の無機化
・腐葉土の物理性
が関係しているのではないでしょうか。
測定の時は、窒素単体のものだけが数値として出た。
実際はバーク堆肥より腐葉土の方が有機態窒素(アミノ酸やたんぱく質)が多い。
そして栽培中、水&適温で菌の再発酵が始まり、じわじわと有機態窒素(葉に含まれるアミノ酸やたんぱく質)が無機化(窒素単体になり)して効いてきた‥と。あるいは有機態窒素のまま吸収された‥?
バークは木質で難溶性分解物質(リグニンなど)が元々多く発酵しづらいこと、腐葉土は元々薄く発酵分解しやすい状態でもある。
物理性については、今回腐葉土の根の状態を観ると、細根がびっしりと土に絡みついていました。
他の土と違い、腐葉土の葉がミルフィーユのように重なって表面積が広いおかげで、細根が縦横無尽にはりめぐり、養分吸収の効率がむちゃ上がったなんてことはないでしょうか。
さらに他の可能性を探ると、葉っぱは植物の生長を良くする植物ホルモンが分泌される箇所です。
となると、その植物ホルモンが腐葉土に残っていて、ベビーリーフの生長に好影響を与えた、、?
どれも憶測にすぎませんが、いずれにせよ腐葉土が堆肥の王様と呼ばれる所以が少しわかった気がします。
ちなみにあれこれ調べていると
「私はこれまでいろいろな微生物資材を使ってきました 。微生物資材として落ち葉を堆肥材料に使ったものと他の微生物資材を使ったものとを比較試験したところ 、落ち葉を使ったものの方が 、発酵がより促進されること 、発酵のにおいが良くなることなど 、できあがりの品質として非常に良い結果が出ました 。また落ち葉堆肥を使った野菜は味がとても良くなることを実感しています 。」—『畑でおいしい水をつくる : 自家製有機堆肥のすすめ』橋本力男著
三重県の有機農業家、農業の匠である橋本力男さんからみても、腐葉土の出来上がり品質は他資材と一線を画すようです。
そしてまさに今回の実験は、堆肥の中でも出来上がり品質良いとされる腐葉土で生長の良い結果とななったわけ。
ちなみに僕自身もこれまで、ケヤキ、梅、イチョウ、マツなどを大量に集め腐葉土を作り、使ってきました。
堆肥マニアすぎるんです。
踏み込み温床まで作ったことあります(失敗した)
松の葉からケヤキ、イチョウまであらゆる落ち葉で腐葉土をつくる‥今は少し熱が冷めましたが、当時は狂ったように集めてましたw#家庭菜園 pic.twitter.com/fmT3FcifFh
— もぐみん@家庭菜園マニア (@agurimiti) April 22, 2019
比較実験を行っていないので確かなことは言えませんが、感覚としてはやはり葉物類の生長が良くなるように感じています。
(ただし落ち葉はかさばり、かつ出来たときには少ないので作るのは大変‥w)
堆肥でNo.1なのはやっぱり腐葉土。
堆肥マニアなので桜の葉、針葉樹など数種類を分けて腐葉土にしたことがあります
針葉樹の葉は単体やとすぐ乾いて腐葉土化させるの難しかったです
イチョウは本には腐葉土に不向きって書いてるけど実際は普通に発酵しますし、使用にも適してますよ。#家庭菜園 pic.twitter.com/K1p3CK2sPE
— もぐみん@家庭菜園マニア (@agurimiti) April 18, 2019
今後、様々な腐葉土を集めて比較実験することや、食味の違いを確かめてみても面白いかもしれません。
牛糞
まったく発芽もしなかった牛糞に関してですが、これはEC値(塩類濃度)が高すぎて発芽を阻害したんでしょう。
この結果から、堆肥という枠の中でも牛糞は取り扱いに気を付ける必要があるな~と感じました。
畑に混ぜる際の参考にもなりますね。
これは私見ですが、土壌改良というより、肥料という感覚で取り扱った方が失敗はないんじゃないかな~なんて思います。
ちなみにサツマイモで牛糞を単体で使った場合も一週間ほどで枯れてしまいました(そもそも使い方を間違ってますが‥)
牛糞のみで実験的にサツマイモ栽培してますが、見事に枯れてしまっています。現在は茎の方も完全に駄目になりました。
これは牛糞に塩類(カリウム、硝酸、ナトリウム、塩素など)が含まれ浸透圧が高まって根が水を吸えなくなってるからでしょう。
興味深いです#家庭菜園#牛糞堆肥 pic.twitter.com/zRHMiIvxsa
— もぐみん@家庭菜園マニア (@agurimiti) June 30, 2019
赤玉土
赤玉土に関しては、そもそも水分・温度条件に3ポットづつ開きがありすぎてなんとも言えません。
葉が縮れ極端に生長が悪いのは、、おそらく土が酸性に傾いていることによって、元々赤玉土に多く含まれるアルミニウムなどの金属が溶け出し生理障害を引き起こしているからではないでしょうか。
廃菌床
廃菌床は、意外にも生長が悪かったんですよね。
使ったものは2~3年雨ざらしにした状態を農家さんにいただきました。
キノコ菌が出す抗生物質が発芽や生育を抑制した‥という憶測をしています。
あるいは酸性に偏りすぎ、再発酵して窒素や酸素不足になったなんてことも考えられるのかも。
ちなみにこの後、環境条件をさらに整えて小松菜の栽培比較実験をした際は
小松菜28種類の土で栽培比較。
昨日、11月24日の状態です。
赤玉土が縮れ、黄化してきてます。
くん炭も葉色が薄く。
廃菌床と花と野菜の土が格段生長良いですな#家庭菜園#小松菜 pic.twitter.com/u8Vp2FIAgS
— もぐみん@家庭菜園マニア (@agurimiti) November 25, 2019
というように廃菌床がぶっちぎりで生長良いのです。
ただこの実験の廃菌床は、山積みの一番下方のものをもらったので、最低でも5年以上は雨ざらしで堆積してあったものなはず。(下にある元土も少し混じった可能性もあり)
バーク堆肥&花と野菜の土
バーク堆肥と花と野菜の土は育ちが似通ってましたね。
今回使用した花と野菜の土は、見た感じ、チップを発酵させたものでバーク堆肥同様に多孔質なようにみえたのでそれも関係しているんでしょうか。
一応花と野菜の土は元肥入りなのですが、その割には生長が伸びなかったな~といった印象。
ただ冒頭でも述べたように、メーカーによって配合は全く違うので、今回の培養土ではそうなった、というだけです。
あれこれ色んなメーカーの土を試してみるのも面白そうですね。
ちなみにバーク堆肥、単体で使うことってないでしょと思われるかもしれません。
でも実は農業の育苗技術として、バーク堆肥単体を使って育てる方法が確立されています。
保水と排水のバランスが良く、無駄に肥料成分が多くないので育苗にも適しているんでしょうね。
まとめ
皆さんいかがでしたか?
今回はベビーリーフをさまざまな土で生育比較実験を行ないました。
環境条件が甘々なので、この結果が全てとは到底言い難いです。
しかし腐葉土の生長が格段に良く皆さんも驚かれたんじゃないでしょうか。
だからといって単体使用するのが良い! とは言い切れないですが、今ある土に混ぜ込んだりしても、生育UPの効果があって良さそうですよね。
あ、一応言っておきますが、これは腐葉土のステマではありませんw
さらに牛糞のディスりでもない。
僕は差別なく公平な目で土をみたのだよ。
みんな違ってみんな良い土っ。
‥ということで二ヶ月にも渡る比較実験はこれで終わりです!
家庭菜園、園芸をされる方はぜひ今回の結果を参考にしてくださいね。
よかったら他のブログで紹介してもらっても良いんですよ!?
‥はい。
そのほかよろしければ、この実験の感想や、自分はこう推察する! っていう意見がありましたらコメント欄へお気軽に投稿くださいませ~。
今後も面白い研究をいろいろやっていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではっ。