もぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、ゴーヤの栽培・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため、初めての方も安心してゴーヤを育てることが出来る内容になっています。
ゴーヤとは
ゴーヤは沖縄夏野菜の代表格。
別名「にがうり」とも呼ばれ、加熱してもシャキシャキした歯ごたえと、ぐっとくる苦みで夏野菜として人気があります。
なんといっても一番の魅力は抜群の栄養で、ビタミンCはレモンの3倍以上もあり、カルシウムも牛乳の10倍以上、鉄分はホウレンソウの約2倍というのだから驚き。
さらに苦み成分の一つのモモルディシンは胃の粘膜を保護し、食欲増進させる効果があります。
料理は炒め物のゴーヤチャンプルのみならず、お浸しや佃煮にしても美味しくいただけますよ。
そして家庭菜園では放任でも出来るほど簡単で、夏真っ盛りになると食べきれない程実がなります。
プランターでももちろん栽培でき、緑のカーテンとしても人気が高いのでぜひ栽培に挑戦してほしいところ。
ゴーヤ栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
ウリ科 | 25~30℃ | 25~30℃ | あり(3年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 1m | 3ヶ月半 | 6.0~6.5 |
きゅうりの原産地は熱帯アジアで、十分な日光と高い温度を好む野菜。
生育初期は生長が遅いですが真夏になると一気に生育旺盛になります。
収穫は種まきから3か月半ほどで、果菜類の中でも生育が早いほうですが、そのぶん定期的な追肥がいります。
といっても放任栽培しても収穫が可能なほど丈夫で栽培は簡単、病害虫に侵される心配もないので初心者におススメ。
土壌も選ばず、乾燥にも強いですが過湿にはやや弱いため高畝にしてやりましょう。
栽培ポイント
・肥料切れしないようこまめに追肥
・多湿は嫌うので高畝に
ゴーヤのおすすめ品種
ゴーヤは大きなものから小ぶりな品種、苦みの少ない品種などさまざま。
その中でも育てやすく、初心者におすすめな品種をあげておきます。
あばしゴーヤ
沖縄地方でよくみられる、ゴーヤで最も一般的といえる品種。苦みが少な目でずんぐりとした大きさ。長さ20~30cm、横は7~15cmとさまざま。
沖縄白ゴーヤ
白いゴーヤです。苦みが少な目でサラダにも使えます。長さは10~20cm、横は5~7cm。
アップルゴーヤ
りんごのような外見と、苦みがかなり抑えられサラダでも使える品種。一般のゴーヤに比べ草勢は弱め。
ゴーヤの栽培時期
ゴーヤの地域ごとの栽培スケジュールになります。
種まきと育苗について【時期・方法】
ゴーヤは初期生長が遅いため、早めに保温育苗するのをお勧め。
一般地で3月下旬から保温下で種をまき苗を育てましょう。
保温なしで育つころに種まきすると、初収穫が夏後半になってしまいます。
事前に種先へハサミで切り込みを入れるor思い切って殻をとり植えると発芽が早いですよ。
培養土を入れた3号ポリ鉢へ事前に水をかけた後、種を三粒まきます。
そして1.5cmほど土を軽く被せて手で押さえつけ、再度水を十分にかけてやります。
ビニール温室や不繊布をかけるなど、なるべく暖かい場所(25℃~30℃適温)で発芽率を上げ、育てましょう。
十分な保温をすれば、一週間程で発芽します。
本葉が一枚出るころに二本をまびいて一本仕立てに。
一本仕立てにしたころからそのまま本葉3~4枚ほどの苗に育てていきます。
育苗ポイント
・保温は日中換気し高温を防ぐ
・表土が乾いたら朝水やりしよう(夕方は徒長するので×)
・寒さに弱いので夜も保温(20℃前後)しよう
注意ポイント
・ナメクジやウリハ虫に食害されやすいので、防虫ネット、ナメクジ駆除剤で対策
土づくり【耕し方・肥料のやり方】
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ3握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
マルチング
ゴーヤは生育旺盛ですが、初夏ごろはまだまだ生育緩やか。
マルチを張ってやることで生長を早め、長く収穫を楽しめるようにしましょう。
土壌中の乾燥防止、ひいては雨による泥はねを防止し病気の予防にもなります。
支柱の立て方
1本植えるときはスクリーン式、2本以上植えるときは合掌式の立て方をします。
フェンスに這わしたり、窓際に支柱を立てかけネット這わし緑のカーテンにするのも良いでしょう。
いずれにせよゴーヤは1株で超旺盛につるが伸びるので、支柱が高く広いほど良いです。
【スクリーン式】
畝の片側の端に、50cm間隔で支柱をまっすぐ刺します。
上部に支柱を横にわたし、交差する場所をヒモで結びます。
続いて下部横に支柱をわたしヒモで結びます。
最後に真ん中も同様に支柱をわたし固定します。
【合掌式】
それぞれ50cm間隔で畝の端から斜めに支柱を差し込み交差させます。
交差させる位置はなるべく高くします。
交差させた部分に上から支柱を一本のせてヒモで結んでください。
ネットの張り方
きゅうりネットを張ることで、誘引の手間をはぶきます。
各支柱にネットをわたして、ヒモで固定しましょう。
ゴーヤはつるを旺盛に伸ばすので、誘引は植え付け時とつるの伸びはじめだけで問題ありません。
苗の植え付け【時期と方法】
苗は本葉3~4枚ほど、株の節間ががつまり葉色の良いものを選びます。
寒さに弱いので最低気温が15℃以上になってから植え付けましょう。
育苗していた場合は、植えつけ1週間前から徐々に保温をやめ外気温に慣れさせてください。
株間は1mあけて植え付けます。
ポット大の植穴を掘り、苗に水をたっぷりやった後、植穴に
最後にたっぷりと水やりをして完了。
ポイント
・低温に弱いため、十分暖かく(夜温18度以上)なってから植え付ける
・一週間は根付かせるため水やりを控える
水やりのタイミング
ゴーヤは乾燥に強いので、植え付け後から雨水のみでも育ち、実がなります。
ただ、根が浅く極度の湿気や乾燥で害を受けやすいのも事実。
特に生育最盛期は、実を肥大させるため水が多くいります。
梅雨明け以降、真夏に晴天が続くなら1週間に1~2回は水やりが欲しいところ。
早朝か涼しくなる夕方に、たっぷりと潅水してやりましょう。
メモ
乾燥が続き根が傷むと、実が曲がったり尻つぼみになるので一つの目安に。
人工授粉は基本しない
ゴーヤは雌花と雄花に分かれており、雄花の花粉が雌花につくことで受粉し実がなります。
ただ露地の場合、昆虫が受粉してくれるので人口受粉は必要ありません。
雌花は咲くものの実の成りが少ないと感じる場合のみ、雄花をとって雌花の柱頭にこすりつけてやりましょう。
午前9時ごろまでには済ませると効果的。
摘心の仕方
本枝には実がつきにくいため、本葉が5~6枚になったら主枝(親づる)は摘心しましょう。
下の脇芽(小づる)を3~4本伸ばしていきます。
その後、数週間経って小づるが支柱の頂上まで達したら、摘心してください。
そのほか、適宜込み合いすぎた箇所はつるを摘心したり、思い切って切っていきましょう。
整枝、摘心をしっかりとすることで長くゴーヤを収穫でき、風通しがよくなり病気の予防にもなります。
追肥の方法
植えつけてから一番果(最初になる実)が穫れるころに最初の追肥をします。
マルチに軽く穴をあけて、株間あたりに30g/㎡の化成肥料888をおきましょう。
以降、2~3週間を目安に、同量を追肥していきます。
同様に畝肩へ、4回目以降は畔にパラパラと蒔き表土と軽く混ぜ合わせるだけで効果があります。
収穫時期の目安
開花から20日(最盛期は二週間)ほどで、こぶがしっかりついて膨らんできたら収穫出来ます。
ヘタの部分をハサミで切り取ってやります。
長い品種では25cm程、短い種では15cm程度を目安にしてください。
一日取り遅れただけでかなり大きくなりますので、少々小さくても穫るようにしましょう。
メモ
そのまま放置しておくと黄色い完熟果になります。
シャキッと感はなくなりますが苦みが消えて食べやすいので、完熟ゴーヤレシピも豊富。
種を収穫したら次年度植えることもできるので一度お試しあれ。
さらに種も食べれますよ。
プランター栽培でグリーンカーテン
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失敗を防ぐ生育診断
雌花が咲かない
ゴーヤは親づるより、子づる、孫づるに多くの雌花をつかせます。親づるは本葉が5~6枚になったら早めに摘心するようにしてください。あとは全体花の9割は雄花ということ、気温が十分に上がらないと雌花がつきにくいことを念頭に入れ、気長に待ってみましょう。最盛期の真夏、支柱全体にツルが伸びてもつかない場合は、肥料過多(窒素肥料)によるつるぼけが考えられます。
実がつかない
雌花が咲くのに実がつかない場合は、単純に受粉されてない場合が考えられます。気温が低い状態だとミツバチが飛ばずに自然受粉されないので、人口受粉で対策しましょう。その他、水分、肥料、日照り不足などさまざまな原因が考えられます。
葉・下葉が枯れる
どのように起きるのか? なぜおきるのか?を分けて考えます。下葉が枯れるのは植物体の一つの戦略で、生長を優先させて新しい葉に栄養と水分を活かせ、古い葉は捨てていると言えます。なぜ野菜がそのようにしなければならないかは、さまざま。肥料、水分が足りてないか、あるいは気温が低くなっているかなど。
実が曲がる・大きくならず小さい
実が肥大する過程で十分に栄養が行き渡らなくなったことでおきます。水分不足、肥料不足、カメムシによる食害など原因はさまざまです。真夏に多発する場合は水分不足が濃厚なので、夕方にたっぷりと水やりをしてやりましょう。