家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、春菊の栽培方法・育て方の基本をまとめました。
一般的な知識だけでなく、自身の経験から得たノウハウを盛り込んでいるため初めての方も安心して春菊を育てることが出来る内容になっています。
春菊とは
春菊はキクの仲間になる葉物野菜で、菊菜(キクナ)とも呼ばれます。
本来キクは秋に花を咲かせますが、春に花を咲かせることが名前の由来。
食味は独特の香りとほんのり苦みが特徴で、その癖の強さが大好きな人もいれば、苦手という方もいるでしょう。
ただ品種によって苦みと癖がほとんどないものもあるため、ソチラを食べれば苦手から好みに代わる可能性も高いです。
そしてなんといっても鍋物には欠かせず、春菊がないと鍋野菜は語れない‥というほど。
その他あらゆる料理の名脇役になりえるポテンシャルを持ち、お味噌汁のトッピング、お浸しやゴマ和えにしても美味しいでしょう。
もちろん栄養価も高く、特にβカロテンはホウレンソウ、小松菜の上をいき、ビタミンC、カルシウム、鉄分なども豊富に含まれています。
家庭菜園でも育てるのは簡単で、旬の冬は何回も摘み取っていけるためぜひ育ててみたいところ。
春菊栽培の特徴
科目 | 発芽適温 | 生育適温 | 連作障害 |
キク科 | 15~20℃ | 15~20℃ | 少な目(1年程あける) |
日当たり | 株間 | 収穫まで | pH(土壌酸度) |
日なた | 約15㎝(株張り型5㎝) | 草丈20cmまで約一ヶ月半 | 6.0~6.5 |
春菊の原産地は地中海沿岸で、涼しい気候を好む野菜。
春まき、秋まきと可能ですが、寒さに強いため旬は秋まき栽培です。
暑さにも耐えますが、30℃を超えると生育がストップ。
春は高温と長日(日が長い)でとう立ちしやすいので、春まき用の品種を選びましょう。
土壌は選びませんが、乾燥に弱いため水持ちと水はけを良くするため堆肥を十分に入れてあげてください。
栽培ポイント
・間引き終わったら引き抜かず、若い葉をどんどん摘み取っていく
・霜対策が必要
春菊の品種について
春菊は大葉種、中葉種、小葉種に分かれています。
最も代表的な種は中葉種で、さらに「摘み取り型」「株張り型」があります。
大葉種 | 葉が大きく切れ込み浅い。葉肉も厚く苦みも薄いのでサラダにも出来る。 |
中葉種 | 摘み取り型‥茎が伸びながら側枝(わき芽)が出やすい。わき芽を摘み取って何度も収穫出来る。
株張り型‥根元から側枝(わき芽)が出て横に広がる。基本的に根ごと収穫する。 |
小葉種 | 小型で切れ込みが多く葉肉も薄い。とう立ちもしやすいので現在ではあまり栽培されない。 |
家庭菜園におススメなのは脇芽を何回も穫れる中葉摘み取り種と、苦みの少ない大葉種。
ここでは人気品種を紹介しておきます。
さとゆたか(中葉摘み取り種)
節間がつまり、側枝(わき芽)の揃いの良い品種。病気の耐性も強いので春まきも安心して育てれます。
菊之助(大葉春菊)
交配種で生育旺盛、丈夫な大葉種。香りがまろやかでサラダから鍋物まで幅広く使えます。
サラダ春菊
えぐみや苦みがかなり少ない品種。生のままサラダや焼き肉を包んで食べれます。
スティック春菊
茎が長く、葉が丈夫に集中する品種。苦み・えぐみがかなり少なく生で歯ごたえ良く食べれます。
春菊の栽培時期
春菊の地域ごとの栽培スケジュールになります。
あくまで一般的な目安なので、詳細は種袋の裏を確認してください。
極端な暑さ、寒さに弱いため春まき、秋まきが基本です。
そして旬はとう立ちしにくい秋まき栽培です。
5℃以下の低温、特に霜害には弱いものの、中間地、温暖地ならビニールトンネル栽培すれば春前まで連続して収穫出来ます。
土づくり【耕し方と肥料のやり方】
まず種まきの約一週間前に、粒状苦土石灰を150g/㎡(1㎡おおよそ三握り)まき、しっかりと耕します。
この時、耕しついでに高さ20cm、幅90cm程の畝を作っておきましょう。
そして種まき当日、堆肥・元肥を全面にばらまき畝が崩れない程度にクワで軽く混ぜこみ、平グワorレーキで表土をフラットにします。
畝1㎡あたり元肥量
・バーク堆肥or腐葉土 2~3㎏
(4~5リットル分)
・化成肥料888 100g
(おおよそ2握り分)
土づくりポイント
・苦土石灰散布は、植え付けの一週間前に終わらせておく
・植物性堆肥&化成肥料なら、即日種まきOK
・酸性に弱いので苦土石灰は確実に
種まき・育苗
春菊の種は発芽率がすこぶる悪い(50%前後)です。
種自体に吸水力もあまりないので、一昼夜水につけてからまくのが無難。
種は光を必要とするので、土はごく薄くかけることにも注意しましょう。
メモ
発芽を確実なものにしたいなら、濡れた布に数日包んで芽出しするのも手。15~20℃の範囲外だと発芽率が半分以下になるので気を付けましょう。
間引くのをなるべく省きたい方は点蒔き、間引き菜を楽しみたい方は筋蒔きしていきましょう。
オススメなのはたくさん食べれる筋蒔きです。
筋蒔き
まず畝に水をまいて軽く湿らせ、クワなどで表土を圧着していきます。
畝の条間を10cmほどとり、支柱などで深さ5mm程の蒔き溝をつけて下さい。
約1cmおきに筋まきしていきます。
均等にかぶさるよう注意しながらごく薄く5mm程土をかけ、手でしっかり押さえつけます。
最後にシャワーで優しく水をかけて完了。
点蒔き
まず畝に水をまいて軽く湿らせ、クワなどで表土を圧着していきます。
条間、株間ともに10~15cm(大葉・株張り型は株間5cm)間隔で3~4粒を点まきしていきましょう。
空き缶などで軽く溝(5mm)つけ、種を適当に3~4粒おきます。
ごく薄く(5mm)かけ手でしっかり押さえます。
最後に優しくシャワー水をかけて完了。
メモ
中葉摘み取り種を春まきする場合、セルトレイや育種箱で移植栽培するのも発芽させやすくおススメ。本葉3~4枚で移植していきましょう。この時マルチングして、株間、条間ともに15cm間隔すると除草・間引きいらずで便利。
間引きと植え替え
摘み取り種、大葉種は最終的に株間10~15㎝、株張り型は5㎝程必要です。
一般的には、本葉が1~2枚出るころにまず2~3cm間隔に間引きます。
続いて本葉5枚時に5㎝間隔に間引いていきましょう。
摘み取り種・大葉種は続いて込みあう度に間引き、最終的に10~15cm株間にしていく流れです。
乱雑に引き抜いた間引苗も、実は植え替え出来ます。
直後1週間程は萎れが観られますが、表土が乾いてなければしっかり根付きますよ。
点蒔きの場合も本葉1~2枚で弱い苗を1~2本間引き、本葉5枚程で1本仕立てにします。
間引き後は条間を混ぜ合わせ、軽く土寄せしてやりましょう。
間引き手順を細かく説明しましたが、ぶっちゃけ上の画像にもあるように、本葉5枚程まで一切間引かずとも、ぐんぐん生長してくれます(徒長する、込み合って病害虫リスク高まる、それ以上置くと生育停滞するなどはある)
よって小規模な家庭菜園においてはシビアにならず、込み合いすぎたところの大きな苗から間引くくらいのスタンスでも構いません。
追肥
追肥は草丈が20~25cmになるころ(本格的な収穫時)にやります。
化成肥料888を30g/㎡を条間にやり混ぜ合わせます。
それまでは間引き時の際、葉色が薄く生育が悪い場合のみ追肥しましょう。
いずれにせよ、収穫、間引きのタイミングでやるようにしてください。
水やり
発芽するまでは表土が乾燥しないよう気を付けて水やりします。
その後は乾燥が続いた時のみで良く、基本降雨まかせでも問題ありません。
追肥時には出来れば水やりをして肥料をしっかり効かせるようにしましょう。
寒冷紗で冬越し
春菊は寒さに強いですが、霜が降りると一気に葉先が枯れてしまいます。
秋まきの場合、最低気温が5℃以下になったら寒冷紗や不織布でトンネルがけしてやりましょう。
極寒地はビニールトンネルが良いです。
収穫
草丈20cm程(本葉約10枚程)になったら、下葉を4~5枚残して株元から主枝をハサミで切り取ります。
その後旺盛に脇芽が出てくるので、下葉2~3枚残して摘み取る繰り返し。
一斉に全節(全脇芽)を取ると弱って生育が滞るため、1回につき最も生長した節のみを随時穫っていけばコンスタントな収穫が望めます。
株張り型はそのまま引き抜いて収穫しますが、実は他と同じように摘み取っても脇芽が出てきます。
種が獲りたい場合は、春になるととう立ちしてくるのでそのまま収穫はやめておいておきます。
綺麗な花が咲くので鑑賞用にも良いですよ。
とう立ちを防ぐには
とう立ち(茎が伸び花芽をつける)すると葉茎がかたくなり、食味も苦くなってしまいます。
春菊は本葉4枚以降に低温を感じた後、高温、長日条件(日が長くなる)でとう立ちする性質があります。
なので春栽培はまさにとう立ちする条件がそろっているというわけ。
早まきを避ける、あるいはとう立ちする前に収穫するのが対策になるでしょう。
プランター栽培~挿し木からも~
coming soon…
メモ
スーパーで買った春菊の根茎を植えると再生栽培できます。